作中人物(読み)さくちゅうじんぶつ

改訂新版 世界大百科事典 「作中人物」の意味・わかりやすい解説

作中人物 (さくちゅうじんぶつ)

文学作品中に登場する人物は,しばしば生身の人間と混同され,作者ないし読者が彼らと同化する錯覚を起こすが,言葉によってしか存在を与えられず,作中にしか姿を現さないという意味で,彼らはまったく紙の上の存在である。大別して主役脇役,端役に分かれ,性格が変わっていく動的人物と変わらない静的人物,平板な人物と奥行のある人物,筋に奉仕する人物と筋を左右する人物等に分類できるが,彼らの性格は内在的に備わったものではなく,読者が自己の内面を投影できるよう,作者がくふうした種々の修辞学的装置に由来する。中近世の喜劇にあっては,二枚目,小娘,小間使,厳父等々の役柄,バルザックにあっては一貫した性格の典型性,シェークスピアドストエフスキーにあっては矛盾する特性共存,心理小説にあっては状況と行動との心理学的決定論が,そうした装置として機能しているといえよう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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