デジタル大辞泉
「二枚目」の意味・読み・例文・類語
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にまい‐め【二枚目】
- 〘 名詞 〙
- ① 枚数が二番目に当たること。また、そのもの。
- [初出の実例]「是は立役の二枚目三まい目と位をあらそふことあり」(出典:絵本戯場年中鑑(1803)下)
- ② ( 江戸時代、劇場に掲げられた看板の二番目に名がしるされたところからいう ) 曾我十郎・紙屋治兵衛のようにやさしいしぐさとことばをつかい、恋愛葛藤を主として演ずる美男役。また、演劇、映画などで美男役をする者。
- [初出の実例]「二まい目の睨が娵の敵なり」(出典:雑俳・柳多留‐八八(1825))
- ③ 転じて、美男。やさおとこ。
- [初出の実例]「羽左衛門を引延ばした様な面影がある、〈略〉先づ以て、色男二枚目(にマイメ)であらふ」(出典:まんだん読本(1932)節劇と云ふもの〈大辻司郎〉)
- ④ かせぎ高第二位の遊女。
- [初出の実例]「おしょくの女郎と二まいめの女郎とは、どこのうちでも中(なか)のわるいものさ」(出典:洒落本・古契三娼(1787))
- ⑤ 相撲の番付で、前頭・十両・幕下などの、二番目にあたる位置。筆頭の次位。
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二枚目 (にまいめ)
歌舞伎の芸のかたち,およびその役柄。本来は〈和事(わごと)〉または〈やつし〉と呼び,優美な男性が色恋を演じる芸のかたちである。白粉(おしろい)を塗っている色男の役で,この役柄の中に,〈つっころばし〉というコミカルな味わいのより濃い役柄(たとえば《双蝶々曲輪日記》の与五郎)も含まれる。〈二枚目は三枚目の心で演じよ〉という口伝があり,それが進んだときにこういう役柄が生まれた。ほかにやや手ごわい〈ぴんとこな〉(たとえば《伊勢音頭恋寝刃》の福岡貢)もある。語源は,江戸中期の上方で,顔見世のときの看板のうち,立役を並べた6枚(のちに8枚,11枚)看板の中でやつし,濡事師(ぬれごとし)の位置が2枚目であったことによる。現在では,歌舞伎ばかりではなく,映画,演劇にひろく使われる。
執筆者:渡辺 保
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二枚目
にまいめ
歌舞伎(かぶき)の役柄の一種。多くの女性に好かれるような美男子の役、またはこれを得意とする俳優のこと。江戸中期の京坂で、顔見世(かおみせ)興行の看板のうち、立役(たちやく)の俳優名を並べた六枚看板のなかで、この種の役柄の俳優の名が二枚目に置かれた慣例によるという。「和事(わごと)師」の俗称ともされ、顔をおしろいで美しく化粧するので「白塗(しろぬ)り」ともいうが、現代では広く芸能用語になり、日常語でも美男子の意味に使われている。
[松井俊諭]
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二枚目
にまいめ
歌舞伎の役柄の一つ。白塗りにした美男子役で,劇中美女を相手に恋愛場面を繰り広げる。現在では,他の演劇や映画・テレビで使われるばかりでなく,日常的にも好男子のことを指す。江戸時代,表の看板や番付の右から2番目に書かれた花形役者が務めたところから,この名が起こった。
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二枚目【にまいめ】
歌舞伎用語。俳優の役柄のうち,女性に好かれる美男役,またこれを専門とする俳優をいう。昔の番付や看板では,この種の俳優の名を初めから2枚目に置くのが例だったためこの名が起こった。
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