価格硬直性(読み)かかくこうちょくせい(英語表記)price rigidity

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

需要・供給の変動に対して価格が反応しないことをいう。これには、超過需要があっても価格が上がらないという上方硬直性と、超過供給があっても価格が下がらないという下方硬直性とがある。従来、需要・供給の法則で知られるように、ある市場において需要と供給が一致していないときには、需給バランスを回復するように価格が伸縮的に変化するものと想定されていたが、実際には価格が不変に保たれ、需給関係から独立している場合があることが観察されている。

 この原因としては、市場の寡占化による寡占価格の形成や政府の市場への介入などがあげられる。また、労働市場において賃金の下方硬直性が存在すると、労働の超過供給、つまり失業がみられるにもかかわらず、賃金は下落せず、いつまでも完全雇用が達成されない。不況期における価格の硬直性もよくみられる現象である。寡占価格の硬直性を説明するためにP・M・スウィージーによって考えられたのが屈折需要曲線であるが、近年はその他の場合の価格硬直性の説明にも有用であるとされている。

[内島敏之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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