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失業 しつぎょう unemployment

翻訳|unemployment

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

失業
しつぎょう
unemployment

労働の意思と能力をもつ者が継続して就業できないでいる状態。それが社会問題化してきたのは,労働人口の大部分が雇用労働者となった資本主義社会になってからであり,特に 1930年代の大不況で大きな問題になった。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

失業

働く意思と能力がありながら就業の機会が得られない状態。失業の原因について、理論上は自発的失業非自発的失業の区分が重要である。自発的失業は労働者自らの意思で失業あるいは次の職を求めて失業している状態。非自発的失業は、事業不振、解雇など、自らの意思に関係ない理由で失職し、職探しを余儀なくされている状態を指す。ただし、離職の動機に労働者自身の意思が介在したのか否かは、かなり判定が難しい。日本を含めて先進諸国で大きな社会経済問題となっているのは、若年者の高い失業率と企業の事業不振などに伴うリストラ失業。若年者の失業率が高い理由としては、能力に比べて賃金などのコストが高い、熟練度が低く即戦力を必要とする企業側の要求に対応していない、企業が過剰労働力を抱えるため新規採用を手控える、などが挙げられる。同時に、労働歴の初期には自分に最も適した職業機会を探索するため労働移動も多く、ある部分は健全な適職探しの反映でもある。他方、リストラ失業(米国ではダウンサイジングという)は、事業基盤再構築の過程で余剰になった従業員の解雇、希望退職などの形で削減する動きとして目立っており、人件費の高い中高年の失業者増加の原因となっている。

(桑原靖夫 獨協大学名誉教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

失業

働く意思と能力がありながら就業の機会が得られない状態。総務省によると、今年1月の完全失業者(15歳以上)は277万人。昨年10月の255万人から3カ月連続で増加している。また、失業者数を労働力人口で割った1月の完全失業率は4・1%(季節調整値)となっている。

(2009-03-02 朝日新聞 朝刊 大学)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

しつ‐ぎょう〔‐ゲフ〕【失業】

[名](スル)
職を失うこと。失職。「会社が倒産して失業する」
労働者が労働の能力と意欲とを持ちながら、労働の機会を得ることのできない状態。「潜在失業

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百科事典マイペディアの解説

失業【しつぎょう】

経済学においては,労働の総供給から企業の労働総需要を差し引いた部分を失業と呼ぶ。雇用問題においては,労働の意思と能力のある者が就業できない状態をいう。解雇・退職等による失業者には雇用保険法の適用によって,一定期間失業給付支払いがある。
→関連項目資本主義不完全雇用

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世界大百科事典 第2版の解説

しつぎょう【失業 unemployment】

一般には,働く能力と意志とをもちながら職に就けないことを失業と定義する。具体的に,だれがどのような要件を満たすとき実際に失業者とみなされるのか。失業者を数えあげる統計として日本では〈労働力調査〉(総務庁統計局)があり,毎月世帯を通じて毎月末日に終わる1週間(〈調査週間〉)の活動状態を質問することによって失業統計(〈労働統計〉の頂参照)が作成されている。この労働力調査によれば〈完全失業者〉とは,(1)仕事がなくて,調査週間中に少しも仕事をしなかった者のうち,(2)就業が可能でこれを希望し,(3)かつ仕事を探していた者,および仕事があればすぐに就ける状態で過去に行った求職活動の結果を待っている者,と定義されている。

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大辞林 第三版の解説

しつぎょう【失業】

( 名 ) スル
職を失うこと。失職。 「会社が倒産して-する」
社会の労働力の一部が雇用されていない状態。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

失業
しつぎょう
unemployment

労働の能力と意思をもちながら労働の機会を得ることのできないでいる労働人口の状態をいい、資本主義に必然的な社会現象である。労働能力の保有とは、労働不能や病気療養中などの場合を除いて簡単な労働を行う能力を備えていることであり、また、労働意思の保有とは、争議中の労働者のような意識的な労働忌避などの場合を除いて、消極的にしろ就労の意欲を表明していることである。さらに労働機会の有無とは、字義どおりに解するならば就労の機会自体を得ることができるかどうかということであるが、さらに広く個々の労働能力と意思とに相応する就労であるか否かという観点からもとらえるべきである。非自発的な短時間雇用や雇用の中断を伴う不規則な雇用は就労していても実質的には失業状態に近いケースがあり、これを半失業という。また、働くことを望んでいるにもかかわらず自分にふさわしい職がないため求職活動をあきらめている状態を潜在的失業という。資本主義経済では失業および半失業を根本的になくすことはできないが、政策によって失業や半失業の度合いを軽減することは可能である。[三富紀敬・伍賀一道]

相対的過剰人口の形成と作用

失業および半失業は、経済学の歴史のうえでは長い間社会にとって「絶対的」に過剰な人口である、と考えられてきた。マルサスは『人口の原理』(人口論、1798)において、幾何級数的に増加する人口と算術級数的にしか増加しえない食糧との不均衡から人口の過剰を説き、これを歴史を貫く自然法則であるとした。J・S・ミルは『経済学原理』(1848)において、賃金として支払われる資本量は一定の時点では一定した基金であり、このため賃金率は資本量に正比例し労働者数に逆比例する、と説いた。この賃金基金説wages fund theoryは、失業が生ずる原因を労働者の高賃金や最低賃金制あるいは労働組合の賃金協定の存在に求める考え方の源流である。
 これらに対してリカードは『経済学および課税の原理』第3版(1821)において、『同』第2版(1819)までの見解を修正し、一国の資本総額一定のもとでの機械の導入は、労働を排除して人口を過剰にするとしたうえで、資本の蓄積が機械の導入もしくは使用の拡大を伴って行われる場合には、労働需要は逓減(ていげん)する割合でしか増大しない、と説いた。マルクスは、リカードの見解を批判的に継承して相対的過剰人口の理論を体系化した(『資本論』第1巻・1867)。その際にキーワードとなったのが「資本の有機的構成の高度化」という概念である。生産力が向上し資本主義が発展するにつれ、機械設備や工場などの生産手段の規模は、そのもとで就労する労働力に比べはるかに大きく、前者に投下された資本(不変資本)は賃金支払いにあてられる資本(可変資本)を上回るようになる。たとえば投下資本のうち、かつては半分が生産手段に、残り半分が賃金にあてられていたのに、いまでは9割が前者に、賃金にはわずか1割しか投下されないというようになる。このように生産手段と労働力の技術的比率を反映した不変資本と可変資本の比が資本の有機的構成である。これが高度化するに伴って(先の例のように1:1が9:1になること)同一資本規模当りの労働者数は減少し、不要になった労働者は職を失い、相対的過剰人口(失業および半失業)に追いやられる。資本総量の増加率が資本の有機的構成高度化のスピードを上回るならば、雇用される労働者数は増加することもあるため、資本構成の高度化からただちに相対的過剰人口の形成を導くことはできない。しかし、ある部門で資本構成の高度化が急速に進んでいるときに、別の部門では従来のままということもあるし、また社会全体の資本総量が一定のもとで、資本の集中(企業合併)が進み、それに伴って資本の有機的構成の高度化が進行し、労働者の過剰が発生するという事態もある。資本蓄積はこのような諸契機を含みつつ、相対的過剰人口を生み出すようになる。
 ひとたび形成された相対的過剰人口は、資本の突発的な生産拡大を支える条件となる。現実の人口増加にかかわりなく、いつでも資本が自由に利用しうる過剰人口は産業予備軍としての機能を担う。労働需要の増加に伴う賃金水準の上昇は産業予備軍によって抑制され、また、産業予備軍は就業している労働者に対して長時間過密労働を迫る圧力となる。これは相対的過剰人口を増加させる要因ともなる。そのため、労働時間や労働強度に関する労働基準がどのように設定されているかは相対的過剰人口の形成にも深くかかわっている。過度労働を規制し、労働基準を確立することは働きすぎ社会を規制するためのみならず、失業問題の改善にとっても不可欠の課題である。[三富紀敬・伍賀一道]

失業・半失業をつくりだす新たな要因

今日の失業および半失業は上記の基本的な要因に新たな点が加わってつくりだされている。
 第一に、生産技術や情報ネットワークの飛躍的発展を基礎として生産は飛躍的に拡大するが、限られた市場(消費)によって制約され、不況や恐慌を引き起こす可能性を絶えずはらんでいる。政府は財政・金融政策によって不況の回避を図るが、根本的に除去することは不可能である。過剰となった機械設備の整理は容易でないため、不況局面からの回復はしばしば長引き、失業者の増加は慢性化するようになる。不況が長期化するもとで企業は収益回復のために労働コストの削減を目ざして人員削減(リストラ)を強めるため失業者が生み出される。
 第二に、リストラを実施する企業は収益力が強まるとの評価に基づいて株価が上昇する傾向があるため、好業績をあげている企業でも経営戦略の観点から人員削減が行われることがある。株主の利益を最優先する企業経営者の場合、労働者の基本的権利を軽視して、もっぱら株主の圧力に従ってリストラを実施する。
 第三に、今日の失業・半失業は多国籍企業の経営戦略と深くかかわっている。もっとも有利な国や地域で事業を展開する「最適地主義」の原理に従って、企業は自由に国境を越えるようになった。このような多国籍企業の戦略は産業空洞化をもたらすとともに、進出先で生産した低価格商品の逆輸入を通して国内市場を攪乱(かくらん)するなど、国民経済に多大な影響を及ぼしている。これによって国内雇用は縮小し失業者を増加させる。
 第四に、多国籍企業の海外展開は進出先である発展途上国の伝統的産業や自営業者の経営基盤を揺るがし、そこで就労していた人々を大都市の過剰人口に追いやる要因となっている。さらに、多国籍企業がより安価な労働力を求めて別の途上国に工場を移すことで新たな失業問題を生み出している。多国籍企業のこのような戦略は、進出先の諸国に不安定な雇用機会を生み出しつつ、同時に失業・半失業を増加させている。これらの過剰人口の一部は外国人労働者として先進国に流入している。合法または非合法のルートを通して先進国にやってくる外国人労働者は労働市場の最底辺に編入され、非正規雇用の一員となるか、あるいは顕在的、潜在的失業者として滞留し、先進国の失業問題を増幅している。[三富紀敬・伍賀一道]

近代経済学の失業理論

近代経済学では、競争的労働市場のもとでは労働の需要と供給が一致する点で賃金と雇用量が決定されると考える。なんらかの事情で高い賃金水準になった場合、労働供給(仕事を求める労働者数)が増加し需要(求人数)を上回るようになれば失業が生まれるが、やがて供給が減少、賃金が低下し需給が一致するため失業は解消される。したがって賃金が十分に低下する限り失業が長期にわたって発生することはない。しかし、労働組合の抵抗などによって一定の水準以下に賃金が低下しない場合(賃金の下方硬直性)、それに見合う労働需要が十分でないならば失業が発生する。J・M・ケインズは賃金の下方硬直性を前提にして、1930年代の大不況期の失業を総需要の不足から説明し、働く意思のあるすべての労働者が雇用される状態(完全雇用)を実現するために必要な生産水準が達成されないことにその原因をみた。その打開に向けて提起されたのが政府の財政支出による需要、すなわち公共事業である(『雇用・利子および貨幣の一般理論』1936)。ケインズの有効需要の理論は第二次世界大戦後の先進資本主義国で採用された完全雇用政策の理論的支柱となった。
 なお、近代経済学に基づく労働経済学では、求人および求職のミスマッチ(年齢、性、職種、技能、地域など)によって生ずる失業を構造的失業、求人・求職情報が入手困難なため、あるいは労働移動に時間がかかるため一定期間発生する失業を摩擦的失業、さらに企業の求人など就労機会の不足によって生まれる失業を需要不足失業とよんでいる。[三富紀敬・伍賀一道]

欧米諸国の失業・半失業

各国における失業者数および失業率は、1974~1975年の世界同時不況以降著しく増加している。1980年代に入ると10%の失業率を記録する国も現れ、失業者数は世界恐慌下の1930年代の水準に達した。ヨーロッパ議会European Parliamentも認めるように、実際の失業者数は政府の失業統計をはるかに上回っている。ヨーロッパ労連(ETUC)は、失業手当を受けることができず、仕事をみつける望みに乏しい労働者は、失業統計に現れてこないとして、1982年上半期の時点でヨーロッパ共同体(現ヨーロッパ連合)の失業者数は、公式統計で把握できる1100万人のほかに、若年者をはじめ高齢者、既婚女性などの「隠れた失業者」200万人を含めるならば、合計1300万人になるとした。
 失業は、無資格もしくは職業資格の低い者に相対的に集中する傾向にあるが、高い技能の資格をもつ者にも及んでいる。失業問題がこのように深刻化した背景には、企業の投資動向が1970年代に入って大きく変化したことがあげられる。過剰資本の顕在化するもとで、利潤の拡大が、生産投資ではなく投機という方法に依存するようになったこと、生産投資が行われる場合にも国内で手控えるかわりに国外における投資が拡大されること、限られた範囲の国内投資も省力化のための投資を重点にしていることなどによる。この結果、国内においてリストラをする一方で、国外で雇用を拡大するということも行われている。企業による新規の採用は全体として低調で、期間の定めのある契約などの不安定な雇用形態が多く、失業問題をさらに深刻化させている。
 1990年代以降も欧米先進諸国では多数の失業者を抱えている。とりわけ2008年のアメリカの金融危機を契機とする世界同時不況の影響を受けて、OECD(経済協力開発機構)加盟国の失業者数は2008年(3230万人)から2009年(4405万人)にかけて急増した。2008年時点のILO(国際労働機関)基準による各国の失業率はスペイン11.4%、フランス7.9%、ドイツ7.3%、ベルギー7.0%、イタリア6.8%、カナダ6.1%、アメリカ5.8%、イギリス5.6%などである。なお日本は4.0%であった。[三富紀敬・伍賀一道]

日本の失業・半失業

日本の完全失業者および完全失業率は、総務省統計局「労働力調査」が毎月調査している。「労働力調査」で完全失業者に数えられるためには、調査期間(月末1週間)のうち1時間といえども就業していてはならないことをはじめ、現に就業を希望していること、仕事があればすぐにでも就業できる状態にあること、しかも実際に求職活動をしているか、または過去に行った求職活動の結果を待っていること、という条件を満たさなければならない。実際に失業状態にあっても、年齢や職種などで自分に就労可能な職がないため求職活動を断念した人や、調査期間中にごく短時間アルバイトをした人などは完全失業者にカウントされない。このため、日本の失業者数は実態より過少に表示されている。なお、完全失業率は、完全失業者を労働力人口(完全失業者+就業者)で除して算出する。
 1950年代後半から1970年代初頭までの高度成長期には低失業状態が続いていたが、第一次石油危機(1973)を契機とする低成長経済への転換によって1975年以降、完全失業者は100万人を突破した。その後、完全失業者、完全失業率ともに増加を続け、1980年代末から1990年代初頭にかけてのバブル経済期には一時減少したものの、バブル経済の破綻(はたん)以降、不況が長期化するもとで1995年(平成7)には完全失業者は200万人を超えた。企業のリストラによる人員削減が相次ぎ、1999年に入ると完全失業者は300万人を突破し、2001年7月には完全失業率は5%台に突入した。2002年から2007年にかけての好況期には完全失業率は低下したが、その後、ふたたび上昇し2009年に5.1%になった。
 1990年代から21世紀初頭にかけて、グローバル競争のもとで雇用の弾力化・柔軟化を求める企業の雇用戦略とそれを支援した労働法制の規制緩和政策(労働者派遣法の相次ぐ改正など)を背景に、パートタイマーや派遣労働者などの非正規雇用の増加が顕著になった。非正規雇用の多くは雇用期限が限られ、就業と失業を繰り返す不安定雇用(半失業)である。総務省の「就業構造基本調査」(2007)によれば非正規雇用は全労働者の35%余に達している。[三富紀敬・伍賀一道]

日本の雇用・失業対策

西欧諸国では、解雇について、正当な事由、手続、刑事上・民事上の罰則、被解雇者への補償などを定めた解雇規制法が広く普及している。一方日本では、労働組合への加入や組合活動を理由とする解雇禁止の規定(労働組合法7条)や、労働災害や職業病のため休業中(その後30日間を含む)の労働者および産前産後休業中(同)の女性労働者の解雇を禁止する規定(労働基準法19条)が設けられただけで、解雇を一般的に規制する措置はとられていなかった。ようやく2003年の労働基準法改正で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という条項(同法18条2)が設けられた。その後、この条項は2007年に制定された労働契約法第16条に移された。
 日本では雇用保険法(昭和49年法律第116号)によって、経営不振の企業が一時休業をした場合、労働者に支払う休業手当の一部を国が補助する雇用調整給付金制度(後に雇用調整助成金制度)が開始された。失業者に対する所得保障である失業給付は、欧米諸国の給付期間に比べて概して短く、最低所得保障原則が確立されていないため給付額は低い。失業者の職業選択の自由を実質的に保障する役割を果たしていないため、労働条件が低く不安定な仕事であってもやむなく就労せざるをえない状況にある。
 欧米諸国では、公的就労事業の制度化や労働時間の短縮の措置が、失業者への雇用機会の創出という観点から進められ、一定の効果をあげてきた。これとは逆に日本では、公的失業対策事業は廃止され、また、労働時間の短縮についても企業の裁量にゆだねられている。[伍賀一道・三富紀敬]
『岸本英太郎編『資本主義と失業』(1957・日本評論新社) ▽大木一訓著『雇用・失業の経済分析』(1979・大月書店) ▽加藤佑治著『現代日本における不安定就業労働者』上下(1980、1982・御茶の水書房) ▽小池和男編著『現代の失業』(1984・同文舘出版) ▽加瀬和俊・田端博邦編著『失業問題の政治と経済』(2000・日本経済評論社) ▽太田聡一・橘木俊詔著『労働経済学入門』(2004・有斐閣) ▽基礎経済科学研究所編『時代はまるで資本論』(2008・昭和堂) ▽労働政策研究・研修機構編・刊『データブック国際労働比較 2010』(2010)』

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世界大百科事典内の失業の言及

【完全雇用】より

…経済理論的には,完全雇用は,現行の賃金率・価格のもとで雇主が需要したいと考える労働量と労働者が供給したいと考える量が一致する労働市場の均衡状態とみなされる。労働市場の均衡において就業していない労働者は,現行の実質賃金率において労働よりも余暇を選択しているため,自発的失業となる。したがって完全雇用においては,現行の賃金・価格で働きたいが職がないという非自発的失業は存在しない(非自発的失業が存在する状態を不完全雇用underemploymentという)。…

【雇用政策】より

…19世紀までは,失業は性格上の欠陥,勤労意欲の欠如など,個人の道徳上の問題だとされていたので,失業による生活困窮者の救済は救貧法体系のなかで,救貧院への収容,労働テストの甘受を条件とするか,個別的治療の対象となるかで,それが特別にとり上げられることはなかった。
[新古典派の雇用理論]
 20世紀になると,W.H.ベバリッジの《失業――産業の問題》(初版1909)が示すように,失業問題は産業上の問題としてとり上げられることになった。…

【雇用理論】より

…労働雇用量がどのように決定されるかを説明する経済理論。労働人口から雇用量を差し引いたものが失業量であるから,雇用理論は失業理論でもある。失業は現代社会の重要な経済問題であるが,それが大きくクローズアップされたのは1930年代の大恐慌の経験をとおしてである。…

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