改訂新版 世界大百科事典 「保護継電器」の意味・わかりやすい解説
保護継電器 (ほごけいでんき)
protective relay
電力系統の線路や機器に故障が発生したとき,これらを系統から切り離すために故障した線路や機器を検出する装置。故障中は大電流や高電圧が発生するので,故障を極力速く除去することによりその波及を他に及ぼさないことが重要であり,保護継電器は故障を検出後遮断器に遮断を指令し,遮断器が故障区間を切り離す。検出原理によって分けると,故障時特有の現象である大電流や高電圧を利用する過電流継電器,過電圧継電器,電力方向継電器,距離継電器など,切り離す区間の両端の電流の大きさや位相を比較する電流差動継電器,電流位相比較継電器など,周波数の異常を検出する周波数継電器,変圧器の油圧異常を検出する油圧継電器などとなる。両端比較方式で端子間が遠く離れている場合は,相互に信号を送受する通信回線が使われる。構造的には,ふつうの指針形計器のような電磁力を利用した電磁形継電器,トランジスターやICのスイッチング作用を利用した静止形継電器,マイクロプロセッサーの計算機能を利用したディジタル形継電器などがある。電磁形はもっとも歴史は古いが,静止形やディジタル形は,小型で高性能かつ自動監視点検機能を容易に組み込めるため,無保守としても高い信頼度を維持できる利点がある。
執筆者:岡村 正己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報