日本大百科全書(ニッポニカ) 「信号流れ線図」の意味・わかりやすい解説
信号流れ線図
しんごうながれせんず
signal flow graph
signal flow diagram
系またはシステムの構成要素の接続関係を示し、同時に信号が構成要素をどのように伝ってゆくかを図式表現する記述様式の一つ。計測制御系をモデル化するためにメーソンSamuel Jefferson Mason(1921―74)により提唱された。数学的、理論的に整備され、ブロック線図より抽象的であるが、詳細に信号伝達状況を表示できて複雑な系の取扱いに適し、見通しのきく表現法として認められてきている。信号はノードnode(節)で、信号を伝達する要素はブランチbranch(枝)で表される。要素の入出力特性すなわちトランスミッタンスtransmittanceは伝達方向を矢印で示したブランチの上に表示され、これがその要素のゲインgain(利得)になる。信号流れ線図は当面する物理的現象を因果律に従って記述して容易につくられ、系の構造を明確に示し、その動作を調べるにも便利である。 にブロック線図との対比を例示した。
[岩村 衞・山﨑弘郎]
『寺尾満著『測定論』(1975・岩波書店)』▽『計測自動制御学会編『自動制御ハンドブック 基礎編』『自動制御ハンドブック 機器・応用編』(1983・オーム社)』▽『苅屋公明・前田親良著『計測の科学と工学』(1993・産業図書)』