借地非訟事件(読み)しゃくちひしょうじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「借地非訟事件」の意味・わかりやすい解説

借地非訟事件
しゃくちひしょうじけん

借地に関する非訟事件。昭和 41年法律 93号によって借地法の一部が改正され,若干の非訟事件が新設された。すなわち,事情変更による借地条件の変更および賃貸人不承諾の場合における賃借権譲渡に関して裁判所の決定により借地条件を変更し,賃借権を譲渡しうることになった。これらの事件は,借地権の目的たる土地の所在地の地方裁判所の管轄とするが,当事者の合意があるときはその所在地の簡易裁判所が管轄する。これらの規定は,1992年従来の建物保護法,借地法借家法を廃止し単行法として成立した借地借家法に引継がれている。裁判所は非訟事件手続によって裁判するが,3人の委員から成る鑑定委員会の意見を聞くことを要するなど一般の非訟事件よりも慎重な手続をとるべきことが借地借家法および借地非訟事件手続規則 (昭和 42年最高裁判所規則1号) に定められている。

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世界大百科事典(旧版)内の借地非訟事件の言及

【非訟事件】より

…たとえば,土地の賃貸人と借地権者との協議がととのわない場合に裁判所が借地条件の変更や借地権の譲渡・転貸の許可をするのはその例である(借地借家法42条。借地非訟事件と呼ばれる)。しかし,そうなると訴訟事件と非訟事件の限界は流動的になり,一方では裁判の公開・対審を保障した憲法82条のカバーする範囲はどこまでかが問題とされ,他方では訴訟・非訟の二分法に疑問が提起され,第三の手続(異訟手続)を考案すべきことが提唱されるに至っている。…

※「借地非訟事件」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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