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非訟事件 ひしょうじけんjurisdictio voluntaria; freiwillige Gerichtsbarkeit; juridiction gracieuse

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

非訟事件
ひしょうじけん
jurisdictio voluntaria; freiwillige Gerichtsbarkeit; juridiction gracieuse

裁判所が処理する事件のうち,民事訴訟以外の民事事件。形式的意義では,非訟事件手続法 (明治 31年法律 14号) に規定されている事件およびその総則規定が適用または準用される事件をいう (民事調停法家事審判法など) 。実質的な意義での非訟事件と訴訟事件との区別については学説が分かれており,有力なのは,訴訟事件は法規を適用して紛争を解決する民事司法であり,非訟事件は国家が私人間の生活関係に介入するために命令・処分をする民事行政であるとする見解である。非訟事件においては2当事者対立構造は希薄で,非公開で (非訟事件手続法) ,職権探知によるし,裁判は決定でされ,告知によって効力を生ずる。近年社会状況が複雑になるにつれて,従来は訴訟事件であったものが非訟事件として扱われる傾向にあり,訴訟の非訟化と呼ばれている。

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百科事典マイペディアの解説

非訟事件【ひしょうじけん】

非訟事件手続法(1898年)に規定され,またはその総則規定が適用・準用され,裁判所が扱う民事事件。信託事務の監督,法人および夫婦財産登記,会社清算人の選任など。
→関連項目家事審判国際民事訴訟法訴訟

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世界大百科事典 第2版の解説

ひしょうじけん【非訟事件】

裁判所が扱う民事事件のうち,慎重・厳格な〈訴訟〉という手続で処理される訴訟事件に対し,より軽易・弾力的な〈非訟〉という手続で処理される事件。訴訟事件と非訟事件の差異については,一応権利・義務の存否について当事者間に争いのあることを前提とし,これに抽象的な法規を適用して一刀両断的に解決するのが訴訟事件であり,これに対して,必ずしも当事者間の争いを前提とせず,裁判所が私人間の生活関係に後見的に介入し,その裁量によって将来に向かって法律関係を形成するのが非訟事件である,といえる。

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大辞林 第三版の解説

ひしょうじけん【非訟事件】

裁判所の扱う事件のうち、訴訟以外の手続きによって処理される民事事件。国家が私人間の生活関係に介入して命令・処分などを行う。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

非訟事件
ひしょうじけん

裁判所が、私人間の生活関係(民事・商事)に関する事柄を通常の訴訟手続によらずに、簡易な手続で処理するものをいう。私人間の生活関係の処理は、原則的に各自の意思に任されているが、国家の後見的介入が必要とされる事柄もある。たとえば、一般人に影響の多い生活関係を監督したり(法人の事務や清算の監督)、自分自身で財産の管理や生活ができない者のために、後見人、財産管理人、遺言執行者などの選任・監督をしたり、また、生活関係の新たな形成について自主的な協議が調わない場合の処理(たとえば、親権者の指定、遺産分割)をする必要などである。これらの事項のうち、沿革的理由ないし政策的配慮から裁判所の所轄とされているものが非訟事件であり、このような事件の処理のために、一般法として非訟事件手続法(平成23年5月25日法律第51号、平成25年1月1日施行)が制定されている。この非訟事件手続法は、1898年(明治31)に制定された旧非訟事件手続法(明治31年法律第14号)を全面的に見直したもので、新法では国民が理解しやすいように、管轄、当事者および代理人、審理および裁判の手続、不服申立て等の手続の基本的事項に関する規定を整備し、参加、記録の閲覧謄写、電話会議システム等による手続、和解等の当事者等の手続保障の拡充が行われた。
 この法律は、非訟事件の手続についての通則を定めるとともに、民事訴訟事件、公示催告事件および過料事件の手続を定めている。非訟事件は、日本国内に住所がないときなどは居所地を管轄する裁判所が取り扱い、日本国内に居所もないときなどは最後に住んでいた住所地を管轄する裁判所が取り扱うこととされている(同法5条)。
 非訟事件における手続代理人は、法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。ただし、第一審裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる(同法22条)。
 なお、民事訴訟手続と非訟手続との差異は、次のとおりである。(1)民事訴訟手続では、公開の口頭弁論を開くのに対して、非訟事件手続では、口頭弁論を開くというたてまえを採用していない。(2)民事訴訟手続では、原則として当事者が提出した資料のみを裁判所の資料とするたてまえ(弁論主義)をとるが、非訟事件手続では、裁判の基礎資料につき必要があれば裁判所が職権で探知することができる。(3)民事訴訟手続では、慎重な裁判の形式によって下された判決に対して不服があるときは、さらに控訴、上告という二度の不服申立てを認められているが、非訟手続では、簡略な形式による決定が下され、これに対する不服申立ても抗告という形式になっている。(4)非訟事件の決定内容については、裁判所の裁量余地が広く、一度なされた決定も、不当と認めるならば取消し、変更がかなり自由に認められるが、訴訟事件の判決では、このようなことはない。[竹内俊雄]

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世界大百科事典内の非訟事件の言及

【訴訟】より

…これは,家庭内のプライバシーを尊重し,非公開で,当事者の言い分をインフォーマルな形で聞き,決定という,より簡易な裁判の形式で,適切な措置を迅速に講じることを目ざした手続である。また,裁判所の仕事には,訴訟を処理することのほかに,さらに非訟事件の裁判がある。私人間の生活関係の処理に国家が介入する場合の一つの方法であり,昔から裁判所の仕事とされてきたものである。…

※「非訟事件」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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