土地や建物の賃貸借で、貸し手に比べ弱い立場になりがちな借り手の保護を目的とする。借地に家を建てた住人が契約更新を求めた場合、所有者はその土地をどうしても自分で利用する必要があったり、十分な立ち退き料を支払ったりするなどの事情がなければ拒否できない。建物の賃貸借でも、大家が契約満了の6カ月前までに、正当な事由によって更新しないことを通知しなければ、そのまま更新される。
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土地や建物の賃貸借契約について定めた法律で、1991年(平成3)に成立。借地法、借家法は1921年(大正10)に制定され、以降4回改正されたが今回は41年(昭和16)改正以来の50年ぶりの大改正である。旧法では借り手側の権利に重点が置かれていた。それは戦時中の特殊事情(応召兵士の留守家族の住生活保護)を背景として弱者保護の制度として考えられたものだが、とくに借地については、借り手の既得権を保護するものとなっていた。そのため、本来は自由に行われるべき不動産賃貸借契約に対する強い制約となり、新規の賃借契約を抑制し、土地の高度利用を妨げるものになっていた。
土地を資産として保有するメリットは、売りたいときに自由に売れることである。ところがこれまでは、いったん賃貸に出すと、事実上所有権を手放したのと同じことになるから、地主は土地を低度利用するか、あるいは空地のままにしておくほうが有利な場合も多く、その結果、賃貸用に供されないことになる。
新法では貸し手側の権利が重視され、貸し手側の貸し渋りで起こる土地供給難の緩和を図るのが目的となっている。もっとも特徴的な点は、契約期限が過ぎたとき貸し手に土地が確実に戻る、貸借期間を一定期間に限った「定期借地権」を創設したことである。また、「借地権の存続期間は30年」とし、契約更新は最初の1回目は20年、2回目以降は10年と短い契約期間を定めている。契約更新時での貸し手の拒否の正当な事由も具体的で、例示が多くなっている。ただし、同法は法改正以前の既契約には適用されない。
[伊藤善市]
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…その後いわゆる小作人の保護という観点から,農地調整法(1938公布)等の特別法が制定された。そして現在ではそれらは借地借家法の対象とはされておらず,前記の特別法を集大成した農地法によって規定されている。また,植林のために他人の土地を利用することを借地林業と呼ぶが,植栽から伐採まで数十年が必要とされ,地代は伐採した木材価格の一定割合を受けとるというかたちをとるなど,普通の借地とは相当異なる。…
…借家関係を規律する法律として借家法(〈しゃっかほう〉とも〈しゃくやほう〉とも読む。1921公布)があったが1991年に借地借家法に統合された。民法は,借家を,借地,小作などといっしょに賃貸借として規定したが(民法601~622条),その後賃借人の保護の必要が唱えられ,1921年借地法と並んで借家法が制定され,41年,66年の改正を経たあと,91年に借地法と統合され,借地借家法となった。…
※「借地借家法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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