(読み)うんずる

精選版 日本国語大辞典 「倦」の意味・読み・例文・類語

うん‐・ずる【倦】

(「倦(う)みす」あるいは「鬱(うつ)す」また「憂(う)みす」の変化したものという)
[1] 〘自サ変〙 うん‐・ず 〘自サ変〙 心屈してふさぎこむ。がっかりする。また、うんざりする。
※竹取(9C末‐10C初)「うんじて皆帰りぬ」
※痩せた花嫁(1925)〈今東光〉「すべてが倦(ウ)んじた夏の夜更けだった」
[2] 〘他サ変〙 うん・ず 〘他サ変〙 いやだと思う。いとわしく思う。
大和(947‐957頃)五九「世の中をうむじて筑紫へくだりける人」
[補注]平安時代和文に集中的に見られる。

あぐ・む【倦】

〘自マ五(四)〙 物事をなし遂げることが困難なので困り果てる、または、いやになる。もてあます。現代では「攻めあぐむ」「考えあぐむ」など、多く複合語となって用いられる。
太平記(14C後)八「此大勢を見て敵もさすがにあぐんでや思ひけん、只此彼(ここかしこ)に走散て」
虞美人草(1907)〈夏目漱石一一「眼を皿に、足を棒に、尋ねあぐんだ当人は」

う・む【倦】

〘自マ五(四)〙 同じことなどを長く続けていやになる。退屈する。また、あきて疲れる。
播磨風土記(715頃)賀毛「此の神、河を堀る事に倦(う)みて爾(しか)云へるのみ」
※読書入門(1886)〈文部省〉「まなべよ、まなべよ、たゆまずうまず」

あぐ・ねる【倦】

〘自ナ下一〙 もてあます。しつづけていやになる。現代では「さがしあぐねる」「待ちあぐねる」のように、多く動詞の連用形につけて用いる。
※雑俳・柳多留‐一一八(1832)「連れもあくねる焼酎の大生酔」
ふたりひとり(1972)〈瀬戸内晴美〉「ふたりきりの時間が持ちあぐねるようになった頃」

あぐみ【倦】

〘名〙 (動詞「あぐむ(倦)」の連用形の名詞化) あきること。いやになってもてあますこと。
浄瑠璃・吉野都女楠(1710頃か)かちぢの御幸古今無双名将とよばれたる足利高氏に、一あぐみあぐませんとは思はずして」

けん【倦】

〘名〙 あきること。また、なまけおこたること。
花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉七「以て倦(ケン)を遣るに足る」 〔礼記‐儒行〕

う‐・ず【倦】

〘自サ変〙 (「うんず」の「ん」の無表記) ふさぎこむ。がっかりする。いやになる。
平中(965頃)一七「男はかぎりなくうじてそのままにものも言はず」

うん‐・ず【倦】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「倦」の意味・読み・例文・類語

けん【倦】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ケン(呉)(漢) [訓]うむ うんずる あぐむ
あきてぐったりする。うむ。「倦厭けんえん倦怠倦労疲倦

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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