人名用漢字(読み)ジンメイヨウカンジ

デジタル大辞泉 「人名用漢字」の意味・読み・例文・類語

じんめいよう‐かんじ【人名用漢字】

戸籍上の人名に用いることができるとして、常用漢字以外に定められた863の漢字当用漢字以外で使用の認められた「人名用漢字別表」(昭和26年、92字)と「人名用漢字追加表」(昭和51年、28字)をもとに、世間要望などを採り入れて順次追加・調整されている。
[補説]平成16年(2004)、それまでの290字に許容字体(人名用漢字の異体字)205字と新たな488字が加えられて大幅に増加。また、平成22年(2010)の常用漢字表改定時には、129字が常用漢字へと移行し、5字が常用漢字から移行した。

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共同通信ニュース用語解説 「人名用漢字」の解説

人名用漢字

現在、子の名に使える漢字は法令や公用文書、新聞放送など一般社会生活で使う「常用漢字」2136字と、法務省令で定める「人名用漢字」861字(異体字を含む)の計2997字に限定される。人名用漢字は追加の要望や司法判断などを受けて見直しが重ねられており、2004年には計698字が追加された。漢字の読みについて制限はない。

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精選版 日本国語大辞典 「人名用漢字」の意味・読み・例文・類語

じんめいよう‐かんじ【人名用漢字】

  1. 〘 名詞 〙 「常用漢字表」に掲げる漢字とともに、戸籍上の人名に用いることができる漢字。当用漢字以外で使用が認められた、昭和二六年(一九五一告示の「人名用漢字別表」(九二字)と、同五一年の「人名用漢字追加表」(二八字)をもとにして、同五六年「常用漢字表」制定の際に、「人名用漢字別表」(一六六字)が戸籍法施行規則で示された。数次の追加を経て、平成一六年(二〇〇四)末現在、九八三字。

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百科事典マイペディア 「人名用漢字」の意味・わかりやすい解説

人名用漢字【じんめいようかんじ】

常用漢字以外に人名に用いて差しつかえないと認められた漢字。戸籍法50条は,〈子の名には,常用平易な文字を用いなければならない〉とし,その範囲を法務省令で定めている。人名に用いる漢字は社会慣習や特殊事情のかかわることが考慮され,1951年当用漢字表の〈人名用漢字別表〉として92字,1976年28字を追加,これらを含めて1981年常用漢字表の別表として166字が公布された。その後1990年118字を追加し,合計284字となり,1997年−2004年7月に6文字追加をへて,2004年9月に488字追加および許容字体から格上げされた205字を加えて,合計983字とされた。2009年4月に2字が追加され985字,2010年11月に常用漢字表の改定により常用漢字表へ追加された129字を削除,常用漢字表から削除された5字を追加し,合計861字となる。常用漢字は文部科学省所管だが,人名用漢字は法務省所管で,戸籍法施行規則(60条)の別表として指定されている。
→関連項目人名

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「人名用漢字」の意味・わかりやすい解説

人名用漢字
じんめいようかんじ

常用漢字以外で人名に使える漢字。現行戸籍法では「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない」とし、その範囲を施行規則で「(1)常用漢字表に掲げる漢字、(2)別表第二に掲げる漢字、(3)片仮名又は平仮名」としている。その(2)に示された「丑丞乃……」以下862字の漢字を人名用漢字という。字体についても若干の許容がある。当初、「人名用漢字別表」(1951年)に掲げられた92字だけであったが、順次変更され、2015年(平成27)に現在の字数となった。

[林 巨樹]

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世界大百科事典(旧版)内の人名用漢字の言及

【国語国字問題】より

…第14期国語審議会(1979‐81)は81年3月,1945字の〈常用漢字表〉を文部大臣に答申した。政府はこれを受け,同年10月1日,内閣から告示,実施に踏み切った(なお,人名用漢字別表の枠は,1976年の追加を経て81年には166字まで拡大された)。 戦後の国語国字問題は,敗戦直後の混乱期に十分な調査研究をする余裕もなく,またローマ字運動家,仮名文字運動家たちの主張の線でまとめられたため,漢字仮名交り文を中心とすると種々の問題があり,ことに国語の表記全体を軽視する風潮を社会一般に与えた点に問題がある。…

【常用漢字】より

…当用漢字は,明治以来の国字問題の一つの課題であった漢字制限が初めて実現したもので,事実,〈法令・公用文書や教育〉をはじめ〈新聞・雑誌・放送その他一般社会に採用され,相応の効果を挙げた〉(常用漢字表前文)といえる。内閣訓令はもともと法令・公用文書だけを規制するものであるが,それが教育に及んだことと,他に,子の名の漢字に法的な制限が加えられたこと(1951年に公布された〈人名用漢字別表〉では,1850字プラス92字しか子の名の漢字として使えなくなった),さらに,制限的な性格から仮名書きの部分がふえて読みにくくなったこと,1語が漢字と仮名のまぜ書きで視覚的なまとまりが悪くなったこと,また,別の語に言いかえなくてはならなくなったことなどのために批判が高まった。これを受けて,66年6月以降,国語審議会は当用漢字の改定を始め,72年6月〈当用漢字改定音訓表〉を答申したものが翌年6月に公布された。…

※「人名用漢字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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