備辺司謄録(読み)びへんしとうろく(その他表記)Pibyǒnsa-tungrok

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「備辺司謄録」の意味・わかりやすい解説

備辺司謄録
びへんしとうろく
Pibyǒnsa-tungrok

朝鮮朝鮮王朝 (李朝) の官庁である備辺司で論議された重要事項を記した記録。備辺司は中宗5 (1510) 年頃設置された。初めは辺境に事変あるごとにその処理にあたる臨時機関であったが,明宗9 (54) 年の乙卯倭変を契機に常設機関となった。壬辰の倭乱以後,軍事行政だけでなく一般行政の全般を掌握する国家の最高機関となった。このため議政府は実質的な機能を喪失し,早くから備辺司廃止論が主張されたが,実行されずに甲午の改革 (1894) のときまで存続した。この備辺司で論議された事項を記録した備辺司謄録は,現在光海君9 (1617) 年から高宗 29 (1892) 年までの 276年間の謄録 273冊が残っている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

関連語 甲午

世界大百科事典(旧版)内の備辺司謄録の言及

【備辺司】より

…大院君時代の1865年,議政府の一機関に格下げされ,92年に廃止された。本司の重要議事の逐日記録である《備辺司謄録》は1617‐1892年分の273冊が現存し,李朝時代の政治,軍事,経済,社会に関する貴重な史料である。【吉田 光男】。…

※「備辺司謄録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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