元の木網(読み)もとのもくあみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「元の木網」の意味・わかりやすい解説

元の木網
もとのもくあみ
(1724―1811)

江戸中期の狂歌作者。本名大野屋喜三郎。狂名木網の前は網破損針金(あみのはそんはりがね)、画名嵩松(すうしょう)。武蔵松山(むさしまつやま)(埼玉県)から江戸に出て湯屋を営むかたわら、和歌和文を妻(狂名知恵内子(ちえのないし))とともに学ぶうち、1770年(明和7)唐衣橘洲(からころもきっしゅう)宅の狂歌合(あわせ)に参加してから狂歌に親しみ、81年(天明1)に隠居剃髪(ていはつ)して芝の土器(かわらけ)町に落栗庵を構えて、夫妻で指導に努めた。天明(てんめい)狂歌勃興(ぼっこう)時に落栗連は四方赤良(よものあから)(蜀山人)の山手(やまのて)連、橘洲の四谷(よつや)連と並ぶ中心であり、いわゆる寛政(かんせい)改革期には、和歌に近い作風が迎えられて、古今にわたる選集『新古今狂歌集』を著している。作風は温雅平凡で特色に欠けるが、そこに特色があるともいえる。

 あせ水をながして習ふ剣術の役にも立たぬ御代(みよ)ぞめでたき (「剣術に寄する祝」)
[浜田義一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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