化学辞典 第2版 「光二量化」の解説
光二量化
コウニリョウカ
photodimerization
光照射によって分子2個が結合し,二量体が生成する反応.たとえば,アントラセンのベンゼン溶液に光照射すると,光二量化が進行しアントラセン二量体が得られる.アルケンの光化学的な[2+2]付加環化反応によるシクロブタン誘導体の生成も光二量化の例である.光を吸収して励起状態になった分子と,基底状態にあるもう一つの分子との相互作用を経て反応が進行する.一重項励起状態を経由する場合は,軌道対称性保存則に従って協奏的に反応が進行するが,三重項状態を経由する場合は,三重項ビラジカル中間体を経て生成物が得られる.光二量化は結晶中でも進行し,結晶内の分子の空間的配列を反映した異性体のみが立体選択的に生成することがある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報