化学辞典 第2版 「光伝導性」の解説
光伝導性
ヒカリデンドウセイ
photoconductivity
光吸収によって物質の電気伝導率が増す性質.光導電性ともいう.一般に光のエネルギーを使って電子や正孔,またはイオン対を形成し,かつこれらを電場により輸送する能力をもつ物質が光伝導性を示す.エネルギー帯構造をもつ絶縁体(AgBrなど)や半導体(Siなど)は,光励起で直接生成する自由電子や正孔が,またマラカイトグリーンロイコシアニドのアルコール溶液では,光解離で生じるイオン対が光伝導の原因となる.有機化合物(アントラセン結晶やポリ(N-ビニルカルバゾール))はその中間に位置し,分子に束縛された電子または正孔がホッピングによって輸送される.光伝導性は,光検出器(CdS,Si),光スイッチ(CdS),電子写真感光体(ZnO,非晶質Se,CdS,有機物),テレビ撮影管(PbO,Sb2S3),太陽電池(Si)などに応用される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報