児野(読み)こうの

日本歴史地名大系 「児野」の解説


こうの

神功皇后の産気を抑えた霊石の伝説にちなむ地名。「筑前国風土記」逸文(釈日本紀)は新羅遠征の途上、神功皇后の陣痛が始まったので、大小二つの石を腰に挟んで産気を抑えて海を渡り、帰国後に応神天皇を出産したという伝説を載せ、その石を「皇子産石」とし、転訛して「児饗石」といい、その石がある地を「児饗野」というとある。「筑紫風土記」逸文(釈日本紀)は「子饗原」と表記する。「万葉集」巻五にも同様の伝承がみえ、「筑前国怡土郡深江村子負原」「故布乃波良」と記す。それらによると、この石は二つとも一尺余の大きさで白色、光沢があり楕円形で、往来旅人はみな下馬・跪拝したという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android