入り揉む(読み)いりもむ

精選版 日本国語大辞典 「入り揉む」の意味・読み・例文・類語

いり‐も・む【入揉・焦揉】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 激しくもみ合う。押し合いへし合いする。風などが吹き荒れる。
    1. [初出の実例]「ひねもすに、いりもみつる神の騒ぎに、さこそいへ、いたうこうじ給ひにければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行四段活用 〙
    1. 激しくもむ。もみにもむ。ひどくいじめる。
      1. [初出の実例]「『西国の受領(ずりゃう)ぞ』とて、母代(ははしろ)にいりもまれ給ひしかど」(出典狭衣物語(1069‐77頃か)四)
    2. 思いこがれて気をいら立たせる。思い詰めて気をもむ。さまざまに心を砕く。また、技巧を使いすぎる。
      1. [初出の実例]「この人を妻(め)にせばやと、いりもみ思ひければ」(出典:古本説話集(1130頃か)二〇)
    3. 是非にと一心に祈る。心を砕いて嘆願する。
      1. [初出の実例]「御堂童子に至るまで、ただ物に当りて水を浴(あ)み、人知れぬ額(ぬか)をつき、仏をいりもみ奉る」(出典:栄花物語(1028‐92頃)鶴の林)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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