入夫婚姻(読み)ニュウフコンイン

デジタル大辞泉 「入夫婚姻」の意味・読み・例文・類語

にゅうふ‐こんいん〔ニフフ‐〕【入夫婚姻】

民法旧規定で、女戸主である妻の家に夫が入る婚姻

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精選版 日本国語大辞典 「入夫婚姻」の意味・読み・例文・類語

にゅうふ‐こんいんニフフ‥【入夫婚姻】

  1. 〘 名詞 〙 民法旧規定の下で、男子が、戸主である女子と婚姻してその家にはいること。この場合には夫は妻の氏を称する。現在では、この制度はない。〔民法(明治三一年)(1898)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「入夫婚姻」の意味・わかりやすい解説

入夫婚姻
にゅうふこんいん

民法旧規定のもとで、夫が女戸主(にょこしゅ)である妻の家に入る婚姻をいった(民法旧規定788条2項)。普通の婚姻では妻が夫の家に入り夫の氏を称したが、入夫婚姻では、夫が妻の家に入り妻の氏を称した。これは、いわゆる「家」の制度のもとで、妻の家が絶えることを回避するために設けられた制度の一つである。入夫婚姻に類似するものとして婿養子の婚姻がある。後者は、妻が法定推定家督相続人であるために家を去ることができない場合に夫が妻の家に入る婚姻であるのに対して、入夫婚姻は、妻が女戸主であるために家を去ることができない場合に夫が妻の家に入る婚姻である。入夫婚姻が行われた場合に、婚姻のときに反対の意思が表示されないときには、入夫が戸主となるものとされていた(民法旧規定736条)。第二次世界大戦後における民法の大改正により、いわゆる「家」の制度は廃止され、このような制度も姿を消した。現在でも、夫が妻の氏を称することは可能であるが、そのことは夫が妻の家に入ることを意味するわけではない。

[高橋康之]

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