入子・入籠(読み)いれこ

精選版 日本国語大辞典 「入子・入籠」の意味・読み・例文・類語

いれ‐こ【入子・入籠】

〘名〙
① 同形で大きさの異なるもの数個を組み合わせ、大小の順に中へ入れるように作った器物、特に箱。また、そのような仕組み。盃、鍋、重箱などにある。
蔭凉軒日録‐延徳二年(1490)正月五日「塗師持七入子曲鉢来」
※暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉三「大い金火鉢を入れこにして来た盥の底が抜けかけて居る」
② 転じて、外に現われない事情が内部にかくされていること。「いれこのある話」
櫓杭(ろぐい)の頭を差しこむために、櫓にほられた孔。
日葡辞書(1603‐04)「Ireco(イレコ)〈訳〉日本の櫓にある、櫓杭のはいる孔」
太閤記(1625)一二「甲を拾ひ得ては、首に甲をきせ、甲付の首と記されしも有て、いれこの某と、うしろ指をさされ侍りしも有しとなり」
⑥ (入子) 死んだ子のかわりに、他人の子をもらって育てること。また、その子。
※歌舞伎・𢅻雑石尊贐(1823)序幕返し「わしが産んだは女の子、産れ落ちると直ぐに失ひ、〈略〉お袖が産みやった男の子、わしが産所へ直ぐに入れ子に」
⑦ (入子) 魚が卵を持っていること。また、その卵。〔改正増補和英語林集成(1886)〕

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