精選版 日本国語大辞典 「太閤記」の意味・読み・例文・類語
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太閤豊臣(とよとみ)秀吉の伝記。早くお伽衆(とぎしゅう)大村由己(ゆうこ)が、秀吉の命令により、その天下統一を賛美して天正(てんしょう)年間(1573~92)の事績を記録した『天正(てんしょう)記』(うち九巻が現存)、織田信長、秀吉に仕え『信長(しんちょう)記』の著もある太田牛一(おおたぎゅういち)が、秀吉の功業を覚え書き風に記録した『太閤軍記』(その一部が『太閤さま軍記のうち』として伝わる)、秀吉に仕えた田中吉政の家臣川角(かわすみ)三郎左衛門の著かともいわれる、秀吉の天下統一を覚え書きと聞き書きをもって記した『川角太閤記』五巻があるが、これら先行の「太閤記」を集成したのが小瀬甫庵(おぜほあん)の『太閤記』22巻である。
先行の「太閤記」のほか『幽斎道之記(ゆうさいみちのき)』などの記録、書翰(しょかん)、巷説(こうせつ)をも取り入れて構成、1625年(寛永2)に擱筆(かくひつ)。年月順に記しながら、回想、後日談などを挿入、秀吉の治政を賛美し、秀吉の側からみた治乱の記、栄華の物語をなすが、相手側の柴田(しばた)勝家、北条氏政(ほうじょううじまさ)、豊臣秀次(ひでつぐ)らの悲劇をも哀感をもって描く。高麗(こうらい)、唐土の外征などに関して、儒教思想をもって、秀吉の善は善としながら悪は悪として批判も行う。巻一から巻16まではその太閤の正伝、巻17は関白秀次の事件、巻18、19は山中鹿之助(しかのすけ)など戦国武将の列伝、巻20、21は、1616年(元和2)の執筆になる、治世のための八つの道を説く八物語であり、巻22は雑録である。
文体は、記録体というよりは、作者自身の感情を交え、京都の人々の声、太閤伝説、異論・評をも借りて、成功者秀吉を語る物語の文体をなす。そのため朗読、講釈の語り物としても行われた。その意味で物語化した「太閤記」の源をなすもので、本書が絵入り、抜粋としても版を重ねるとともに、民話の手法をも用いて秀吉像が伝説的に巨大化していった。そのなかで作者未詳の『元禄(げんろく)太閤記』七巻、竹内確斎(岡田玉山画)の『絵本太閤記』七編84冊、さらに諸種太閤伝に注記・考証を施し古典をも借用して脚色を施した栗原柳庵(くりはらりゅうあん)の『真書(しんしょ)太閤記』360巻などがつくられた。これらは明治以後まで、史書、記録、草紙、歴史小説などに影響を与え続けた。
[山下宏明]
『桑田忠親著『太閤記の研究』(1965・徳間書店)』▽『同校訂『太閤記』(1971・新人物往来社)』▽『荒木良雄著『安土桃山時代文学史』(1969・角川書店)』
広義には豊臣秀吉の一代記の汎称。何種類もの著作がある。秀吉の命によって大村由己(ゆうこ)が著した「天正記」以外は秀吉没後の著作で,初期のものに太田牛一の「太閤軍記」(うち1巻が「大かうさまくんきのうち」とされる),川角(かわすみ)三郎右衛門の「川角太閤記」,さらに由己や牛一の著作などを参酌してなった小瀬甫庵(おぜほあん)の「太閤記」などがある。とくに甫庵「太閤記」は有名で,狭義には「太閤記」といえば甫庵のものをさすが,史実との関係については問題が多い。その後も武内確斎作・岡田玉山画「絵本太閤記」,栗原柳庵編「真書(しんしょ)太閤記」など潤色された作品が巷間に流布し,後世の演劇・小説・講談の素材となった。甫庵「太閤記」は「新日本古典文学大系」所収。
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