入蜀記(読み)にゅうしょくき(英語表記)Ru-shu-ji

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「入蜀記」の意味・わかりやすい解説

入蜀記
にゅうしょくき
Ru-shu-ji

中国南宋紀行文学陸游の著。乾道6 (1170) 年四川の地方官に任命された陸游が,故郷紹興 (浙江省) を出て揚子江をさかのぼり,家族とともに赴任した5ヵ月余の船旅を日記として記した書。同時期の范成大の『呉船録』などとともに中国紀行文学の代表作の一つとされる。

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世界大百科事典(旧版)内の入蜀記の言及

【山水遊記】より

…美しい風景を描写する文章は,北魏の酈道元(れきどうげん)の地理書《水経注》にすでに見られるが,唐の柳宗元が華南に流謫(るたく)され,北方と異なる山水の美を自らの感慨をまじえて記述した《永州八記》が模範となり,その後,親しく遊覧した山水を記述する文学が多く作られた。宋代では,范成大《呉船録》,陸游《入蜀記》のように紀行文が単に旅程の記録にとどまらず,風景描写を含み,遊記の性格を持つものが生まれた。全国各地を遍歴したのでは,明の徐宏祖《徐霞客遊記》が有名である。…

※「入蜀記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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