中国、浙江(せっこう)省北東部の地級市。人口443万(2014)。上虞(じょうぐ)など3市轄区と新昌(しんしょう)県を管轄し、諸曁(しょき)、嵊州(しょうしゅう)の2県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。春秋時代の越の都で、秦(しん)代に山陰(さんいん)県が置かれ、唐代になって会稽(かいけい)、山陰の2県が設けられた。また南宋(なんそう)以後、紹興府の治所ともなった。1912年、前記の両県を合併して紹興県を設置、1979年、県の市街地を分離して紹興市が設けられた。
市は浙東(せっとう)運河と杭甬(こうよう)線(杭州(こうしゅう)―寧波(ニンポー))に沿い、越城(えつじょう)区、柯橋(かきょう)区内には縦横に水路網が発達している。絹織物、漆器、紙などの伝統工業のほか、冶金、機械、電子工業も盛んである。周辺の農村は米、綿花、クワ、茶の産地で、平水珠茶(ピンシュイチューチャー)は杭州の竜井(ロンチン)茶と並ぶ銘茶である。有名な紹興酒(シャオシンチウ)は鑒湖(かんこ)の水を利用して近郊一帯で醸造されるが、阮社(げんしゃ)でとりわけ盛んである。
魯迅(ろじん)など多くの文人、政治家を生んだ地で、中華人民共和国成立後、魯迅記念館が建設された。禹陵(うりょう)(夏王朝の禹王の陵墓)、蘭亭(らんてい)、嘉祥寺(かじょうじ)、周恩来(しゅうおんらい)故居などの旧跡や、東湖、鑒湖などの名勝がある。
[林 和生・編集部 2017年4月18日]
中国,浙江省北部の都市。人口63万(2000)。会稽山脈が北にのびて形成する前山と,杭州湾南岸に形成される沖積平野との境にある扇状地の先端に位置する。背後の山地と,前面の水上の両者の資源を活用しうる良好な環境にあり,浙江では最も古い伝統をもつ都市である。城壁の内外にクリークが通じ,中国屈指の水の都として知られる。伝説によれば,禹(う)は全国の治水事業を終えたあと,諸侯をこの地に集め会計(会議)を行い,そのために会稽(計と稽は同音)と呼ばれるようになったという。これはこの地域が,治水の対象となるような中国世界の南端にあったことを意味する。春秋時代には,于越と称する南方民族の居住地区の中心で,その国都が置かれた。伍子胥(ごししよ)の悲劇,越王句践の復讐など,後世の文学作品の有名な題材となった呉越の争いの,一方の舞台でもある。秦の統一により江南には会稽郡が置かれ,呉(蘇州)に中心があったが,ここも山陰県として銭塘江以南の中心であった。そののちも江南の後背地として機能し,五代の呉越国のように小国の国都となったこともあった。南宋のときは臨安(杭州)に国都があったが,北方の金が一時的に江南まで攻め込んだとき,臨安よりこの地(当時は越州と称した)に都が移され,そのとき年号を紹興(1131)と改元したことにちなんで,越州を紹興府と改めた。紹興の名はここに始まる。
紹興は,杭州の大運河の起点よりさらに東にのびる寧波(ニンポー)運河の中間にあたり,寧波が南海との交易で栄えたときには,その交通の要衝として発展し,また前面の沖積湿地を開発することで得られた水田や江海からの農水産物の産出,古い伝統をもつ手工芸などにより,明・清時代を通じて,杭州,寧波と並ぶ都市となった。特産品として,付近で産する良質の米と水から醸造される酒(紹興酒,老酒)が世界的に有名。また上記の禹に関する遺跡,王羲之の蘭亭遺跡など観光地も多い。魯迅や清末の革命家,徐錫麟(じよしやくりん),秋瑾(しゆうきん)の生地としても名高い。
執筆者:秋山 元秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
中国浙江(せっこう)省北東の都市。春秋時代には越(えつ)の都が置かれた。絹糸,絹織物,茶,漆器,紙,鉄鉱などの特産品に富むが,紹興酒の産地として特に有名である。また,魯迅(ろじん)や周恩来の故郷として知られている。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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