山川 日本史小辞典 改訂新版 「全藩一揆」の解説
全藩一揆
ぜんはんいっき
幕藩制国家の支配単位である藩的規模で百姓が参加する大規模な一揆。また局地的であっても利害が全藩的規模であるものも含める。闘争形態は,越訴・強訴・打ちこわしなどさまざまなかたちをとる。松木荘左衛門(長操)で有名な1640年(寛永17)若狭国小浜藩領の一揆や磔茂左衛門で有名な81年(天和元)の上野国沼田藩領の一揆などは,藩の財政的窮乏による年貢の収奪強行に反対し,村役人層を中心としておきた全藩的越訴の例。1712年(正徳2)加賀国大聖寺藩領の一揆,38年(元文3)陸奥国磐城平藩領の一揆などは,小百姓を中心とした領内の惣百姓が参加する全藩的強訴の例。それまで無年貢であった諸稼ぎなどに新税を課す藩の収奪強化政策に反対し,さらに藩と結びついた大庄屋・特権商人への打ちこわしをともなう強訴が各地で展開されるようになる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報