公家列影図巻(読み)くげれつえいずかん

精選版 日本国語大辞典 「公家列影図巻」の意味・読み・例文・類語

くげれつえいずかん クゲレツエイヅクヮン【公家列影図巻】

絵巻物一巻。紙本淡彩。伝藤原信実筆。鎌倉時代二列に対座する公家五七人を描いたもの。濃淡二様の墨色を生かした白描画風で各人個性をよく表現している。京都国立博物館蔵。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「公家列影図巻」の意味・わかりやすい解説

公家列影図巻
くげれつえいずかん

絵巻。1巻。2列に着座する公家57人の肖像を描き並べたもので、もとは各人のそばに名前を記した紙が貼(は)られてあったと思われるが、現在は失われている。豪信(ごうしん)筆の『摂関大臣影』(2巻、御物、鎌倉時代)に照合して、その大半の像主の名を推定することができ、藤原忠通(ただみち)を初めとする平安から鎌倉中期の文永(ぶんえい)(1264~75)ごろまでの摂政(せっしょう)・関白・大臣の肖像を描いたものとわかる。人物は濃淡二様の墨を巧みに用い、頬(ほお)や唇にわずかに淡彩を施す。顔の描写は単純であるが、各人の個性をよく生かしている。鎌倉時代(13世紀)の作で、似絵(にせえ)の名手藤原信実(のぶざね)一派の作と考えられる。国指定重要文化財。京都国立博物館蔵。

[村重 寧]

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