六方詞(読み)ロッポウコトバ

デジタル大辞泉 「六方詞」の意味・読み・例文・類語

ろっぽう‐ことば〔ロクパウ‐〕【六方詞】

江戸時代六方組などが好んで用いた、荒っぽい特殊な言葉遣い。関東方言に基づく粗野な武家言葉の一種。「なだ(涙)」「こんだ(事だ)」「ぶっかける(打ちかける)」などの類。

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精選版 日本国語大辞典 「六方詞」の意味・読み・例文・類語

ろっぽう‐ことばロクハウ‥【六方詞】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、六方組などが用いた特殊な荒々しいことばづかい。旗本の不良息子や武士気取りの無頼の徒や武家の従僕などの間で広まった。関東方言に基づく粗野な武家ことばの一種で、「涙」を「なだ」、「事だ」を「こんだ」、「打ちかける」を「ぶっかける」という類。また、その頃流行した歌舞伎奴物といわれる演目の中で使われた独特のせりふまわしをいうこともある。奴詞
    1. [初出の実例]「かッらかッらと笑ひ、何じゃ、ほめてもない六方詞」(出典:浄瑠璃・一心五戒魂(1698頃)一)

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世界大百科事典(旧版)内の六方詞の言及

【里ことば】より

…特殊なことばづかいを,吉原の例で示せば〈ありんす(あります)〉〈ざんす(ございます)〉などである。吉原の里ことばは,諸国から集まる遊女の生国の方言やなまりをかくすためにつくられたことばとも,また俠客(きようかく)らの用いた六方詞(ろつぽうことば)のなまりとも,あるいは吉原開設のおりに駿府(静岡)や京都から来た遊女の方言が残ったものともいう。おそらく諸事情がかさなって形成されたのであろうが,里ことばが独特の遊興気分をもり上げる要素となったことも見のがせない。…

【奴俳諧】より

…奴ことばを句ごとに詠みこんだ俳諧をいう。武家奉公などをしたは特異の服装や言動をしたが,そのスラングが奴ことば(六方詞(ろつぽうことば)とも)である。奴俳諧は寛文期(1661‐73)を中心に流行,可徳編・定興判《ゑ入清十郎ついぜんやつこはいかい》(1667)をはじめ,立圃(りゆうほ),半井卜養(なからいぼくよう),ケ庵等の独吟歌仙が知られている。…

※「六方詞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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