ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルテンサイト」の意味・わかりやすい解説
マルテンサイト
martensite
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
ドイツの金属学者アドルフ・マルテンスを記念する顕微鏡組織の名称であり、本来は、鋼を焼き入れたときに生成するきわめて硬い組織を意味した。しかし近年では、鋼だけでなく、チタンや銅などの合金、あるいはジルコニアやシリカなどのセラミックスの組織でも、「マルテンサイト変態」によって生成したものすべてをマルテンサイトと総称するようになった。
マルテンサイト変態と通常の変態の相違を説明すると次のようになる。まず、通常の変態では、結晶を組んでいる各原子が周囲の原子との結合を断ち切って、別種の結合形式の結晶に組み込まれることによって変態が進行する。この場合、各原子が個別に活動しなければならないので、ある程度以上の温度でないと変態がおこらない。一方、マルテンサイト変態では、結晶を組んでいる原子の集団が将棋倒しのように一斉に動いて、新しい結晶に生まれ変わるので、室温以下の低温でも変態が進行する。しかも、原子相互の配置関係が変態の前後で変わらないので、変態が可逆的に進行することが多い。ニッケル‐チタン合金などの形状記憶材料(温めると変形前の形状に戻る材料)は、マルテンサイト変態の可逆性を利用したものである。
[西沢泰二]
マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...