化学辞典 第2版 「共鳴伝達」の解説
共鳴伝達
キョウメイデンタツ
resonance transfer
二つの分子(または原子)間,あるいは固体内の二つの局在中心の間で起こる非放射的エネルギー伝達を,量子力学的に理解して共鳴伝達とよんでいる.それぞれTh. FörsterおよびD.L. Dexterによって理論的に検討された.その結果は,ドナー(D)とアクセプター(A)の距離Rに対して共鳴伝達の確率は,電気多極子的相互作用であれば R-s,交換相互作用であればexp(-αR)に比例する形で与えられる.sは双極子相互作用では6,αはDとAのボーア半径の和の逆数である.なお,この確率はDの蛍光スペクトルとAの吸収スペクトルの重なりの積分に比例している.有機溶液の蛍光や二重付活結晶蛍光体の蛍光の強度・スペクトル・寿命などの解明に有効な示唆を与える.[別用語参照]励起移動
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報