内海 信之(読み)ウツミ ノブユキ

20世紀日本人名事典 「内海 信之」の解説

内海 信之
ウツミ ノブユキ

明治〜昭和期の詩人



生年
明治17(1884)年

没年
昭和43(1968)年

出生地
兵庫県龍野市

経歴
兵庫県龍野市の西郊山間旧家に生まれる。病弱のため独学で小学校の代用教員となる。新聞記者を目指すが結核などで挫折。傍ら作詩を始め、「明星」などの雑誌を購読、島崎藤村トルストイの作品に影響を受けた。花を主題にした叙情的な作品が認められ、与謝野鉄幹が主宰する「明星」同人となる。また日露戦争の戦中から戦後にかけて、児玉花外が主宰する雑誌「新声」に非戦をうたった作品を発表。明治39年には戦地で病死した友人を悼んだ詩が掲載されたが、当局の弾圧、世人の攻撃からは免れる。同年「明星」に「花ちる日」という共通題で石川啄木、北原白秋とともに作品が掲載されるが、反戦詩も黙々と作り続け、次第に詩壇の本流から外れていく。43年三木露風の斡旋でロマン調の「淡影」を刊行。大正時代は護憲運動に共鳴し、犬養毅の支持母体となったり、戦時には村長を務めたりするが、戦後、公職追放。昭和36年76歳の時、日露戦争期の反戦詩を収めた「硝煙」が刊行され、“反戦詩人”として再評価を受けた。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報