内部労働市場(読み)ないぶろうどうしじょう(その他表記)internal labour market

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内部労働市場」の意味・わかりやすい解説

内部労働市場
ないぶろうどうしじょう
internal labour market

企業内部にあるとされる労働市場従来の雇用関係は外部労働市場における需給関係によるとされていた。つまり同一企業に長年勤続して昇進,昇給を得るより,よりよい賃金を求めて自由に移動すると考えられていた。これに対し M.J.ピオーリ,P.B.ドリンジャーは現代アメリカにおいては経済学の労働市場モデルが妥当せず,企業別あるいは職業別に労働市場が構造化されていると論じた。その原因としては,労働者の技能がその企業だけにしか通用せず,それは職場内訓練によってさらに強化されており,その結果労働者は昇進,昇給の機会を外部よりも内部に求めることがあげられる。内部化は訓練投資の安全性を高め,それに伴う雇用関係の永続化がモラールを高めるなど企業にとっても有効に作用する半面,弾力的な人事が行いにくい,従業員にとっては企業と対等の交渉がしにくいなどの弊害がある。

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世界大百科事典(旧版)内の内部労働市場の言及

【企業内労働市場】より

…労働市場は,地域,職種,労働力のタイプ,企業,労働組合などを単位として細分化されていることがある。企業や労働組合のように,組織を単位として形成される労働市場を内部労働市場と呼ぶ。内部労働市場の典型は企業組織を単位としたものであり,これを企業内労働市場という。…

【労働市場】より

…このようなことから,特定の企業内部で易しい職務からより難しい職務へ昇進し,賃金もこれにしたがって上昇する年功的職場秩序が生まれた。これが内部労働市場といわれるものである。俗に日本的労使関係の特徴とされる年功賃金,終身雇用,企業別組合は半熟練労働市場の産物で,これは日本だけの特徴ではなく,大量生産技術をとる産業ではほぼ世界各国共通にみられる。…

※「内部労働市場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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