内部相互補助(読み)ないぶそうごほじょ(その他表記)cross-subsidization

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内部相互補助」の意味・わかりやすい解説

内部相互補助
ないぶそうごほじょ
cross-subsidization

一企業内において,ある部門が他の部門を補助している関係にあることをいう。たとえば鉄道業において,旅客部門は原価以上に運賃を課し,貨物部門では原価を割って運賃を課し,旅客部門の超過利潤で貨物の赤字を埋めている場合,「旅客は貨物を内部補助している」という。一企業の部門の分け方によって,地域相互間,事業部門間などの内部補助の関係がみられ,また部門内部でも製品相互間にこの関係がみられることがある。内部補助は交通業,公益事業など公共的で独占色彩の強い業種に多くみられる。すなわち,免許制度によって参入制限を行い,ある企業に独占を認める代りに,公共的に維持が必要ではあるが不採算である市場も同時にもたせ,他の独占的市場から得られる超過利潤によってその欠損を埋めさせようとする政策的配慮と密接な関係がある。内部補助政策の採用は,私鉄の不動産部門と鉄軌道部門の関係のように外部効果が存在する場合を除いて,採算部門の消費者と不採算部門の消費者を不平等に取扱うことになるから,その導入には慎重を要する。 JR新幹線山手線は他の線区を内部補助しており,またバス企業の過疎路線は都市部の路線によって内部補助されている。

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