改訂新版 世界大百科事典 「写真感度」の意味・わかりやすい解説
写真感度 (しゃしんかんど)
photographic sensitivity
photographic speed
感光度,あるいは単に感度ということもある。写真感光材料が光や放射線に対して感光する度合をいう。写真のフィルムおよび印画紙は,感光性のハロゲン化銀をゼラチン中に分散した写真乳剤を支持体に塗布し乾燥して製造する。写真乳剤の製造方法や乳剤に添加する化合物の種類によって写真感光材料の感度が大きく異なる。一般撮影用ネガフィルムは感度が高く,複写用フィルムや印画紙は感度が低い。一般撮影用フィルムの写真感度は一つの数値で表して撮影の露出条件を決める目安として使われる。写真感度の表示は1982年以降世界的にISOスピードを使うことになり,市販フィルムにもISOスピード表示が行われている。写真感度材料の感度を求めるには,感光材料を感光計で規定の方法で露光し,規定の現像方法で現像し,得た画像の写真濃度と露光量との関係から感度を算出する。感光材料の感度測定をセンシトメトリーsensitometryという。一般撮影用ネガフィルムのISOスピード表示の場合,スピードSは,感度測定規準点の露光量Hm(単位lx・s)から,S=0.8/Hmの式で求めて算術的スピード値とする。また,従来のDINに対応する対数的スピード値は,S0=1+10log10(0.8/Hm)で求める。カラーフィルムの場合も基本的には黒白フィルムと同様に感度を表示してある。
執筆者:友田 冝忠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報