凝集エネルギー密度(読み)ギョウシュウエネルギーミツド

化学辞典 第2版 「凝集エネルギー密度」の解説

凝集エネルギー密度
ギョウシュウエネルギーミツド
cohesive energy density

固体液体などの凝集状態にある分子原子を無限遠にまで引き離すのに必要なエネルギーを凝集エネルギーといい,それを体積で割ったものを凝集エネルギー密度(CED)という.CEDは内部圧とともに分子間の相互作用の強さを表す尺度として用いられている.イオン結晶分子性結晶のCEDを比べてみると,前者のイオン結合力は後者ファンデルワールス力よりは強く,一般にCEDはイオン結晶のほうが大きい.CEDが大きい分子ほど融点が高い.液体のCEDは温度によって変化するが,数十~数百 J cm-3 程度であり,低分子物質と高分子物質のCEDはあまり違わない.融解熱蒸発熱に比べてかなり小さいから,近似的に凝集エネルギーは蒸発熱に等しい.低分子物質のCEDはこの方法で求められるが,高分子物質の場合は気体になりえないので,ほかの方法で求めなければならない.低分子液体で高分子物質を膨潤させ,溶解度パラメーターδを求め,

δ=
から,高分子物質のCEDが得られている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の凝集エネルギー密度の言及

【接着】より

…このような場合には,界面の結合の起りやすさは2物質間相互の混りやすさ,すなわち,相互の間の溶解度に関係し,溶解度パラメーターsolubility parameter,略してspという量が接着性のだいたいの目安になる。分子Aからなる物質が分子間力で凝集しているとき,単位体積(1ml)中に含まれるすべての分子間結合A-Aを切り離すのに必要なエネルギー,すなわち凝集エネルギー密度cohesive energy densityの平方根をspと定義する。spの値が互いに等しいときに二つの物質は混合しやすいこと,接着においてはよい接着が得られる傾向があることが実験で認められている。…

※「凝集エネルギー密度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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