分子性結晶(読み)ブンシセイケッショウ

デジタル大辞泉 「分子性結晶」の意味・読み・例文・類語

ぶんしせい‐けっしょう〔‐ケツシヤウ〕【分子性結晶】

分子結晶

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「分子性結晶」の解説

分子性結晶
ブンシセイケッショウ
molecular crystal

ファンデルワールス力を主とした弱い結合力により,分子が互いに結合してできる結晶.結晶エネルギーが小さく,融点も一般に低い.ベンゼン,ナフタレン,そのほか多くの有機化合物の結晶はこれに属する.また,Arや O2 のように常温気体物質も,低温では分子性結晶をつくる.NH3やHClの場合には,双極子間相互作用や水素結合も結合に重要な役割を果たしているが,これらの結晶も分子性結晶に入れられる.分子性結晶にはグラファイト(黒鉛)のように共有結合により原子に結ばれてできている層が,ファンデルワールス力により積み重ねられているものや,Seのように無限に伸びたらせん状分子がファンデルワールス力により束ねられてできているものもある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の分子性結晶の言及

【固体】より

…不活性原子などではそれ自体は電気双極子モーメントをもっていないが,他の原子によって双極子モーメントが誘起され,誘起された双極子モーメントどうしの引力相互作用によって結晶がつくられるのである。こうして分子間力で結合した結晶を分子性結晶という。分子間力は他の結合力に比べて弱く,したがって分子性結晶では融点や沸点が低い。…

※「分子性結晶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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