出糸突起(読み)シュッシトッキ(その他表記)spinneret

翻訳|spinneret

デジタル大辞泉 「出糸突起」の意味・読み・例文・類語

しゅっし‐とっき【出糸突起】

クモの腹端にある突起出糸腺が開口しており、ふつう三対ある。紡績突起。糸器。

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精選版 日本国語大辞典 「出糸突起」の意味・読み・例文・類語

しゅっし‐とっき【出糸突起】

  1. 〘 名詞 〙 クモ類腹面肛門(こうもん)前方にある二~四対の小突起。腹部内にある出糸腺に連なる小吐糸管や吐糸管が多数開口し、分泌物空気にふれて糸となる。紡績突起。糸疣(しゆう)

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改訂新版 世界大百科事典 「出糸突起」の意味・わかりやすい解説

出糸突起 (しゅっしとっき)
spinneret

古くは紡績突起,糸疣(しゆう)/(いといぼ)などと呼ばれていた。クモの腹部下面後端,肛門の前方にある突起で,系統発生上は腹肢の変化したものと考えられている。クモの全生活を支配する重要な糸を紡出する器官。多くのクモにはこの突起が3対あり(キムラグモ類では4対または3対と1個,トタテグモ類では2対または3対),前から順に前対・中対・後対と呼ばれる。それぞれの突起には多数の吐糸管spinning tubeがあり,これらは異なった糸腺spinning gland(糸物質を分泌する腺)とつながり,糸の用途によって分泌される腺と管が異なる。腺はふつう7種類,糸を紡出する管は多数あり,多いものでは1000以上もある。これらの突起のほかに,前対間に小さい間疣をもつものがあるが,ここからは糸が出ない。また前対前方に多数の穴をもつ横長の板状の師板cribellumのあるものがあり,ここからは特殊な糸が出る。この糸は横糸にからみついて,虫を捕らえるのに役だっている。出糸突起と師板をまとめて出糸器官(紡績器)という。
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