化学辞典 第2版 「分配の法則」の解説
分配の法則
ブンパイノホウソク
partition law, distribution law
互いにまじり合わない2液が2層をなし,この両者にわたって一つの溶質が溶けるとき,溶質の量に無関係に一定の割合で分配されるという法則.すなわち,2液における溶質濃度をそれぞれ c1,c2 とするとき,
c1/c2 = K (一定)
で,Kを分配係数という.この法則は,溶質が二つの液相で同じ化学種であるときにあてはまる.液層1では単分子,液層2では大部分2分子会合体となっているときには,この法則は両液層の単分子どうしの間で成り立ち,液層2での単分子の濃度は単分子として計算した全濃度の平方根に比例するから,
c1/ = K
となる.水とベンゼンの間における安息酸の分配はこの例である.気体の溶解度に関するヘンリーの法則は,真空を一つの媒体と考えれば,一種の分配の法則とみなすことができる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報