2種の互いに混ざり合わない溶媒A,Bを同じ容器に入れると,密度のちがいにより,上,下層(相)にわかれる(たとえば水と油)。ここでどちらの溶媒にも可溶な第3の成分Dを加えると,DはA,B中へ溶けていく。また,どちらか一方の溶媒(たとえばA)にあらかじめDを溶かしておいて,他方の溶媒(B)と一緒にしてよく振ると,A中に溶けていたDの一部は,AからBへ溶けて移っていく。すなわち分配される。このとき,A,B2相中のDの濃度をCa,Cbとすると,その濃度比Ca/Cb=Kは,加えるDの量に関係なく定温,定圧で一定となる。この関係を分配律,または発見者H.W.ネルンストの名にちなんでネルンストの分配律と呼び,Kを分配係数という。分配律は希薄溶液において成り立ち,化学ポテンシャルと平衡の条件からも導かれる。ただし,溶質が溶液中で,会合,解離,反応などの変化をし,2液相中で溶存化学種が異なる場合には,上記の濃度比のままでは分配律は成立しない。この関係式は液相間のみならず,気相,固相の任意の相の間においても成立する。溶媒抽出法は分配律の応用で,物質の抽出,分離,精製などに応用されている。
執筆者:橋谷 卓成
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