切放(読み)きりはなし

精選版 日本国語大辞典 「切放」の意味・読み・例文・類語

きり‐はなし【切放】

〘名〙
① 切りはなすこと。切って別々に分けること。また、そのもの。きりはなち。
青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏「琴の図と『うつしよ』の四字を、銀で打込(うちこみ)にした菊版半切の切放し」
江戸時代獄舎火災などの非常の際に、囚人を放って逃がしたこと。そのとき、囚人に三日うちに帰ってくることを命じ、帰ってくれば罪一等を減じた。きりはなち。
※歌舞伎・夢物語盧生容画(1886)六幕「身共も昨夜御牢内の切放(キリハナ)しにて、測らずも斯様に外出いたしてござる」

きり‐はな・す【切放】

〘他サ五(四)〙
① 一つのものや付いているものを切って離れさせる。切って分ける。きりはなつ。
史記抄(1477)一三「呂太后戚夫人を殺て、手足を斬はなして目をくじりて」
武蔵野(1887)〈山田美妙〉上「手綱を敵に切離される掛念(けねん)は無かった」
きずなを切って、牛馬などをはなしてやる。きりはなつ。
③ 非常の際に、獄につながれている囚人を一時釈放する。きりはなつ。

きり‐はな・つ【切放】

〘他タ五(四)〙
平家(13C前)一「簾かなぐりおとし、御牛の鞦、胸懸きりはなち、かく散々にしちらして、悦の時をつくり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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