非常(読み)ヒジョウ

デジタル大辞泉の解説

ひ‐じょう〔‐ジヤウ〕【非常】

[名]普通でない差し迫った状態。また、思いがけない変事。緊急事態。「非常を告げる電話の声」「非常持ち出しの荷物」
[形動][文][ナリ]
並の程度でないさま。はなはだしいさま。「非常に悲しい」「非常な才能」
行動やようすが異常であるさま。
「―な事だと思わないで―なことをするから奇人だろう」〈逍遥当世書生気質

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大辞林 第三版の解説

ひじょう【非常】

( 名 )
ふだんと異なった状態。普通でなくさし迫った事態。 「 -事態」 「 -の際の心得」 「 -を告げる鐘の音」
生命にかかわること。死去。 「小野宮の大臣-の事もおはしまさば/栄花 月の宴
〘仏〙生滅変化して、同じ状態に止まらないこと。
( 形動 ) [文] ナリ 
程度がはなはだしいさま。一通りでないさま。並たいていでないさま。 「 -な悲しみ」 「 -にうれしい」
様子がただごとでないさま。行動が普通と異なっているさま。 「何か-な事でも企て身を隠すとでも/花間鶯 鉄腸

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精選版 日本国語大辞典の解説

ひ‐じょう ‥ジャウ【非常】

〘名〙
[一] (「常」は不断、平常、また、通念の意) いままでの状態が変わること。
① いつもと変わること。一般的通念では考えられないこと。特別の場合であること。
※万葉(8C後)一七・四〇一五・左注「於時、養吏山田史君麻呂、調試失節、野獦乖候。搏風之翹、高翔匿雲〈略〉於是、張設羅網、窺乎非常、奉幣神祇、恃乎不虞也」
※山鹿語類(1665)二一「忠孝を励む〈略〉非常の変ここに来て、臣とし子として明白に其誠をつくさんことは」 〔春秋左伝‐荘公二五年〕
② 特に、天変地異、政変など、不時の変事。思いがけない緊急事態。
※続日本紀‐和銅四年(711)九月甲戌「凡衛士者、非常之設、不虞之備」 〔史記‐項羽本紀〕
③ 生命にかかわること。死。
※左経記‐長和五年(1016)四月三〇日「於今者従非常何恨之有哉」
[二] (形動) (「常」は、なみ、普通の意)
① 様子が異常であること。また、行動などが非常識であること。無礼であること。また、そのさま。
※中右記‐天仁元年(729)五月二〇日「伴卿自本非常第一之人也。全無所能、以大飲業」
② なみはずれてすぐれていること。また、そのさま。非凡。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一「非常の才能を発生せしむることなれば」 〔史記‐魏世家〕
③ 程度がはなはだしいさま。ひどいさま。
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉八「表口は非常(ヒジャウ)の混雑」
※坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉一「非常に失望した容子で」
[三] (「常」は、不変の意) 仏語。生滅変化してしばらくも同じ状態に止まらないこと。無常。〔無量寿経‐上〕
[補注]中世以前には、かなで「ひざう」と書かれたものがある。→非常(ひぞう)

ひ‐ぞう ‥ザウ【非常】

〘名〙 (形動) (「ぞう」は「常(じょう)」の直音表記) =ひじょう(非常)
※宇津保(970‐999頃)国譲上「わかひさうの時にもあひ見でやみぬべきか」

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