刑法読本

山川 日本史小辞典 改訂新版 「刑法読本」の解説

刑法読本
けいほうどくほん

刑法学者滝川幸辰(ゆきとき)の著書。1932年(昭和7)1~3月に大阪放送局から公民講座として放送した内容をまとめたもの。大畑書店刊。客観主義的法解釈の立場から姦通罪内乱罪尊属殺人などに触れた部分が問題とされ,鳩山一郎文相は滝川の京大教授辞職を要求,いわゆる滝川事件となった。33年9月に発禁となる。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の刑法読本の言及

【滝川事件】より

…1930年代初めの思想問題(大学生の〈赤化〉問題)に危機感を抱いた復古主義的右翼は,その原因が自由主義思想にあるとして,東大の美濃部達吉,牧野英一,末弘厳太郎や京大の滝川ら自由主義的法学者を非難していたが,32年に滝川が中央大学で行った講演(〈《トルストイの《復活》に現はれた刑罰思想〉)をとらえ攻撃を開始した。議会では貴族院の菊池武夫と衆議院の宮沢裕が滝川の著書《刑法読本》を危険思想であると攻撃した。内務省はこれをうけいれて,33年4月11日滝川の《刑法読本》(1926),《刑法講義》(1932)の2著を発売禁止とした。…

※「刑法読本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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