列車無線(読み)れっしゃむせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「列車無線」の意味・わかりやすい解説

列車無線
れっしゃむせん

列車運転の安全や高能率化、および旅客の案内や手配などの情報伝達用として、列車乗務員と地上の列車群集中指令事務所との間で使用される移動無線。

 列車無線を機能面からみると、通話系と列車防護系に大別できる。通話系は、運転上必要な通告や指示伝達など輸送管理上必要な情報連絡に使用する電話と、1960年(昭和35)東海道本線の「こだま」号で初めて使用され、その後新幹線に採用されている列車公衆電話からなる。列車防護系は、列車支障事故が発生した場合、列車―列車間または列車―地上間で警報信号を発し、一定区域内の関係する列車に対し停止または停止警報を行うものである。最近は、通話系と列車防護系をあわせて導入する傾向にあり、また、電子技術や電波利用技術の進歩に伴い、機能が多様化している。

 新幹線のシステム構成は、基地局を平均して20キロメートル置きに設置し、移動する列車との通話を可能とし、トンネル内でも通話できるよう構成している。統制局は、業務用電話回線ならびに公衆電話回線と移動局(列車)回線の接続制御を行ったり、移動する列車と通話を継続するために列車の移動に伴い順次基地局を切り替えるなどの制御を行っている。

[藤原昭男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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