日本大百科全書(ニッポニカ) 「利益法論」の意味・わかりやすい解説 利益法論りえきほうろん ドイツ法学の一学派。「目的は法の創造者なり」と唱えたイェーリングを先駆者として、そのもたらす社会的利益を法解釈の指針としようとする。代表者はフィリップ・ヘック、マクス・リューメリン、ミューラー・エルツバッハなどがあげられる。広くは社会的必要に応じて法の運用を変化させることを主張するアメリカのロスコー・パウンドなどもこの傾向に属する。諸集団内の利害対立の激しい現代社会のなかで何が利益かをみいだすことが困難であるという批判もあり、この学派に属する一部の学者が「国家的利益の優先」を唱えてナチ法学に適合した事実などもあって、議論や批判の対象となっている。[長尾龍一] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例