前林(読み)まえばやし

日本歴史地名大系 「前林」の解説

前林
まえばやし

[現在地名]飯田市駄科

駄科だしなの西部に臼井原うすいばら段丘があり、段丘の東端大平おおひら山の前面、北の泥抜どろぬきの谷と南の堤洞つつみぼらとの間に低くなだれた標高四八〇メートルの丘地を前林とよぶ。遠くからは整った円形にみえるので、土地の人はまんじゅう山とよぶ。

丘地上の南北六〇間、東西七〇間の平坦な畑地からは随所に古瓦の破片が見いだせる。その東南部及び西南部のやや傾斜した畑には更に多量に散在し、古瓦出土の中心になっている。

「長石寺記録」に臼井台地の東崖中腹部にある駄科の御所ごしよ山に、奈良・平安の頃強大な権力者が居を構え、周囲には堂塔伽藍が立ち、養老年間(七一七―七二四)に僧行基が観音菩薩の像を造り、御堂に安置し観音寺と号したとあり、鎌倉時代には小笠原氏の祖、長清が信仰し、孫の長政は正嘉元年(一二五七)に寺を時俣ときまたに移し、一二坊を建て、松尾山長石寺と名付けたとみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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