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労働全収権 ろうどうぜんしゅうけんright to the whole produce of labour; Recht auf den vollen Arbeitsertrag

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

労働全収権
ろうどうぜんしゅうけん
right to the whole produce of labour; Recht auf den vollen Arbeitsertrag

すべての生産物の究極の生産者は労働者であるから,労働者は労働生産物の全部を取得する権利をもつという考えに立脚する権利概念。このような考え方は J.ロック,リカード派社会主義者,サン=シモン主義者,J.C.ロートベルトゥスらによりすでに展開されていたが,この用語を用いて明確に定式化したのは A.メンガーである。特にこの概念はリカード派社会主義者たちが 19世紀前半のイギリス資本主義社会の矛盾に対して,D.リカードの労働価値論をもとに労働の生産性と資本の不生産性を対置し,利潤を資本による労働生産物の搾取であると説き,資本の利潤追求こそ労働者階級の貧困の原因であるとして資本主義を批判するのに用いた。これら批判の共通の特徴は「労働は富の唯一の源泉である」というロック以来の自然権思想に基づいた社会批判である。

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世界大百科事典内の労働全収権の言及

【私有財産制】より

…社会主義者が階級社会の消滅という目標の基軸に,私有財産制度の廃止を掲げるのはそのためである。その背後には,現実に労働した者だけが生産物を所有する権利を持つという,近代初頭の自然権論によって支えられた〈労働全収権〉と呼ばれる考え方が底流をなしているといってよい。【佐伯 啓思】。…

【ホジスキン】より

…海軍に入ったが上官と衝突して辞め,大陸に渡り,帰国後急進派新聞の記者となった。1824,25年の団結法をめぐる紛争のなかで労働者の団結や賃金闘争を支持,労働者教育のためロンドン職工学校を設立するほか,《労働擁護論》(1825),《民衆経済学》(1827)などを著し,生産物は結局すべて労働が生みだすので労働者は全生産物を受けとる権利があるという,有名な労働全収権論を説いたが,トムソンWilliam Thompson(1775‐1833)らのオーエン主義者には同調しなかった。のちには《エコノミスト》誌にもしばしば投稿した。…

【リカード派社会主義】より

…ふつう,19世紀の20~30年代のイギリスで,全生産物が労働者に帰属すべきであるという労働全収権right to the whole produce of labor(全労働収益権ともいう)を主張した労働擁護論者の思想をいう。おもな人物としてはトムソンWilliam Thompson(1775‐1833),T.ホジスキン,ブレーJohn Francis Bray(1809‐95),グレーJohn Grey(1799‐1883),エドモンズThomas Rowe Edmonds(1803‐89),レーブンストンPiercy Ravenstone(?‐1830ころ)があり,ときとしてリカード以前のホールCharles Hall(1740ころ‐1820ころ)を含めることもある。…

※「労働全収権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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