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労働貨幣 ろうどうかへいlabour note; Arbeitsgeld

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

労働貨幣
ろうどうかへい
labour note; Arbeitsgeld

一定量の労働をもって貨幣に代替するという考えから案出された労働券をいう。こうした提案は J.グレー,R.オーウェン,P.プルードンなどによってなされ,オーウェンは実際にみずからの主宰する労働交換所で使用したが失敗に終った。またソ連でも 1921年の新経済政策 (ネップ) 採用以前には貨幣を廃止して労働単位を用いようとする計画もあった。労働貨幣という考え方は,労働は最初の価格であり,あらゆるものに対して支払われるところの本源的購買貨幣 original purchase-moneyだという A.スミス (『国富論』第1編5章) の考えに由来し,いわば労働価値説の単純な応用であるが,小所有制の前提のもとで生産物の商品としての交換を廃絶しようとしたものと評価される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

労働貨幣
ろうどうかへい
labour note英語
Arbeitsgeldドイツ語

19世紀前半ごろを中心に、社会問題解決のための一つの手段として提唱された考え方で、一般的には、貨幣のかわりに、商品生産に投下された労働時間を直接表示した紙券を用いるべきだというもの。この紙券が労働貨幣である。J・グレー、R・オーエン、P・J・プルードン、J・C・ロートベルトゥスらによって提唱されたが、各人の具体的構想は同一ではない。なかでも協同組合の創始者でもあるオーエンは、1832年に労働貨幣によって労働生産物を交換する国民公平労働交換所を創設し、労働貨幣を実際に使用したが、3年足らずで失敗している。労働貨幣論は、諸商品の内在的価値尺度である労働時間の必然的な現象形態が、価値尺度としての貨幣なのである、という貨幣発生の必然性に対する無理解によって生じた。商品生産の基礎のうえで「労働貨幣」を構想することは、浅薄なユートピア主義だとカール・マルクスによって批判されたことは有名である。[齊藤 正]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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