ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オーウェン」の意味・わかりやすい解説
オーウェン
Owen, Sir Richard
[没]1892.12.18. ロンドン
イギリスの解剖学者,古生物学者。外科医の修業を積んだのち,王立外科大学勤務 (1826) 。 1830年,G.キュビエに会い,パリ自然史博物館の標本を研究 (31) 。王立外科大学教授 (36) 。 56年より大英博物館博物学部部長。比較解剖学における重要な概念である相同と相似は,それまで区別されずに用いられていたが,オーウェンは,相同を構造に基づく対応関係,相似を機能に関する対応関係と定義し,両概念の意味を明確にした。イギリスで最後の観念的解剖学者と目される彼は,頭蓋骨を脊椎の変形とみる説を立てたが,T.ハクスリーにより痛烈に非難された。大英博物館所蔵の始祖鳥の化石に関する研究 (63) は,オーウェンの古生物学者としての名声の一端をになうものであったが,重大な誤りを含んでいることが発見された (1954) 。また,C.ダーウィンの進化論発表に際して,これを論難したことはよく知られている。
オーウェン
Owen, Robert
[没]1858.11.17. ニュータウン
イギリスの社会改革運動家。協同組合運動の創始者。産業革命期にマンチェスターの紡績工場支配人として成功し,スコットランドのニューラナークに労働者の福祉を目指した大工場を経営した(→ニューラナーク)。ほかにも,空想的社会主義の提唱者として社会や教育の改革事業に先鞭をつけた。環境が人間を規定するという立場に立って産業革命のもとでの資本主義社会の反自然的状態を批判し,共産主義的な共同体を想定し,それを実現しようとした。主著『新社会観』A New View of Society(1813),『ラナーク州への報告』The Report to the County of Lanark(1820)。
オーウェン
Owen, Wilfred
[没]1918.11.4. フランス
イギリスの詩人。第1次世界大戦の戦争詩人中の第一人者。終戦直前に戦死。痛切な戦場体験から初期のジョージ朝の詩風を脱し,「戦争の哀れさ」を義憤と人間愛をもってうたい上げた。詩風の変化にはサスーンの影響があり,またオーデン・グループの詩人たちに強い影響を与えた。サスーン編の『詩集』 (1920) を校訂し回想録を付したブランデン編の『詩集』 (31) が定本とされたが,その後デイ=ルイス編の『全詩集』 Collected Poems (62) が刊行された。
オーウェン
Owen, Alun (Davies)
[没]1994.12.6. ロンドン
イギリスの劇作家。リバプールを舞台にした作品が多い。代表作は,プロテスタントの若者とカトリックの少女の恋を扱った『公園への行進』 Progress to the Park (1959) 。また,ビートルズの最初の映画『ヤア!ヤア!ヤア!ビートルズがやってくる』"A Hard Day's Night" (64) のシナリオをはじめ,映画,テレビでも活躍。
オーウェン
Owen, Robert Dale
[没]1877.6.24. ジョージ湖
アメリカの社会運動家,作家,政治家。ロバート・オーウェンの子。インディアナ州にニューハーモニーという地域社会をつくったが失敗に終る。 1843~47年連邦下院議員。奴隷解放を主張した。
オーウェン
Owen, John
[没]1622
イギリスの詩人。良識と機知に富むラテン語のエピグラムは,4ヵ国語に翻訳されて 19世紀まで広く読まれた。
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