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労働価値説 ろうどうかちせつ labour theory of value

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

労働価値説
ろうどうかちせつ
labour theory of value

商品の価値は,その商品の生産に費やされる社会的必要労働量により決定されるとする学説。等価交換の説明もこれを基礎にしてなされる。労働を富の父であるとした W.ペティに始り,A.スミス,D.リカードらにより発展させられ,K.マルクスによってそれまでの理論的欠陥が克服されて完成をみた。

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デジタル大辞泉の解説

ろうどうかち‐せつ〔ラウドウカチ‐〕【労働価値説】

商品の価値は、その商品を生産するための社会的必要労働時間によって決定されるとする価値理論。英国のペティに始まり、スミスリカードを経て、マルクスによって完成された。

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百科事典マイペディアの解説

労働価値説【ろうどうかちせつ】

商品の価値はその生産に投じられた労働量によってきまるとする説。古典派は価値の源泉を投下労働に求めたが,利潤や平均利潤の成立を説明できなかった。K.マルクスが労働と労働力を区別,労働力商品生産過程で余分の新価値たる剰余価値を無償で作るとしてこの説を完成。
→関連項目古典派生産費説賃金ペティマルクス経済学リカードロートベルトゥス

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世界大百科事典 第2版の解説

ろうどうかちせつ【労働価値説 labor theory of value】

価値について論じられることは,経済学で価値が問題になるはるか以前から多かった。しかし価値を文化的なあるいは哲学的な次元で問題にするかぎり,それは主観的な判断に属する。ところが財あるいは貨物(かぶつ)についてその価値が論じられることになれば,それはなんらかの形で客観的な評価をめざすものとならざるをえない。すでにギリシアアリストテレスはそれを問題にしていたが,財の価値の客観的な根拠を求めても得られるものではない,として探求を中途で放棄している。

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大辞林 第三版の解説

ろうどうかちせつ【労働価値説】

生産に要する労働の量によって商品の価値は決定されるとする学説。一七世紀末ペティーによって主張され、スミス・リカードが受け継ぎ、マルクスに至って完成された。 ↔ 効用価値説

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

労働価値説
ろうどうかちせつ
labour theory of value英語
Arbeitswerttheorieドイツ語
thorie de la valeur de travailフランス語

商品の価値はその商品を生産するために社会的に必要な労働時間によって決定されるという理論をいう。労働時間による商品価値の規定を商品交換の基準とし客観化するので、欲望・効用を基準に商品価値を説明する主観価値説に対して客観価値説ともいう。労働価値説は、ウィリアム・ペティによって初めて着目され、古典派経済学――イギリスではペティのほかA・スミス、D・リカードに代表され、フランスではボワギルベールに始まり、F・ケネーを経て、シスモンディに代表される――によって発展させられたのち、さらにK・マルクスによってこの古典派経済学が批判的に検討克服されて完成された。
 経済学を体系化したスミスは、一方で商品の価値の量をその商品の生産に必要な労働によって規定し、分業と交換の行われる社会ではその商品の交換を通して私的労働が社会的労働に結合し、価値の実体を労働ととらえる投下労働価値説を展開したが、他方で、「資財が特定の人々に蓄積される」資本主義社会では、商品の価値の量は、その商品で交換される労働の量、すなわち支配または購買しうる労働の量によって規定されるという支配労働価値説を説く。両者は単純な商品生産では一致するが、前者は生産における労働からの規定であるのに対し、後者は流通からの規定であって、両者はまったく異なり、スミスは両者を混同していた。またスミスは、一方で投下労働からの商品の自然価格が賃金、利潤、地代に分解する(価値分解説)とし、他方でこれら賃金、利潤、地代の三所得から構成される(価値構成説)と説くが、後者は各所得であるから、各所得の需給関係から規定され、投下労働による規定と異なる。これは流通により、支配労働説に基づくことになる。このようにスミスでは、一方で社会の本質的内的連関から規定するが、他方でその現象形態から規定する二元論となっている。
 リカードは、この二元論のうち投下労働価値説・価値分解説を正しく継承発展させ、スミスの支配労働価値説・価値構成説の誤りを厳格に批判し、労働価値説を純化した。だが彼も価値の量のみに分析を向け、価値の実体をなす労働の質的規定を等閑にし、価値で表される労働(=抽象的人間労働)を使用価値で示される限りの労働(=具体的有用労働)から明確に区別できなかった。また、商品の価値形態を商品価値の本性にとってはどうでもよい外的なものとみなし、価値と交換価値との内的連関を問題にしなかった。さらに、利潤の源泉、平均利潤の形成、生産価格の成立という事実を投下労働の価値に基づいて説明することができず、労働価値説を修正せざるをえなかった。
 マルクスは、これらの欠陥を根本的に批判し、古典派経済学研究の批判的最終成果として得た労働の二重性(具体的有用労働と抽象的人間労働)から労働価値説を厳密に打ち立てる。まず、商品の価値の実体として、商品の使用価値を生産する具体的有用労働とはべつに抽象的人間労働をとらえ、労働力、その支出=労働、労働の対象化を区別して価値の形成を明らかにする。その場合の労働も質的差異をなくし、抽象的人間労働としてその度量単位に単純労働を基準とする。それゆえ複雑労働が単純労働に還元される。次に、商品の価値量は、この抽象的人間労働の量、すなわち労働時間によって決まる。この労働時間は個々の生産者が費やすそれではなく、社会的必要労働時間である。それは、現在の社会的に正常な生産条件と、労働の熟練および強度の社会的平均度とをもってある商品を生産するのに必要とされる労働時間のことである。この労働時間の規定がマルクスの価値法則である。
 マルクスは、労働の二重性に基づいて価値と交換価値との関連、貨幣の本質と機能、労働過程と価値増殖過程を明らかにし、価値法則に基づいて資本と賃労働の交換、労働と労働力商品の区別による剰余価値の生産を解明し、さらに総平均利潤が総剰余価値に等しく、全商品生産価格の総計がその価値総計に等しいことによって生産価格(費用価格+平均利潤)を価値の転化された形態として明らかにして労働価値説を完成させ、自己の全経済学説を展開した。ここに経済学の諸概念、その運動、およびそこに貫徹する法則が労働価値説によって基礎づけられた。[海道勝稔]
『K・マルクス著『資本論』(向坂逸郎訳・岩波文庫/岡崎次郎訳・大月書店・国民文庫) ▽K・マルクス著『経済学批判』(武田隆夫他訳・岩波文庫/杉本俊朗訳・大月書店・国民文庫) ▽K・マルクス著、岡崎次郎・時永淑訳『剰余価値学説史』(大月書店・国民文庫)』

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世界大百科事典内の労働価値説の言及

【価値】より

…つまり,諸商品のあいだの相対価格を潜在的あるいは本質的に規定するものとしての交換価値を分析するのが経済学の価値論である。
[労働価値説]
 価値の源泉は労働にありという論点を経済学的に明白にしたのはスミスである。彼の以前にもたとえばJ.ロックが労働価値説を提示していたが,それはまだ社会哲学的な仮説にとどまっていたのであり,経済学的な仮説として労働価値説を明らかにしたのはスミスだといえる。…

【経済学説史】より

…そして,古典派経済学の最後の巨峰はJ.S.ミルであり,その著《経済学原理》(1848)は古典派経済学の完成の記念碑である。 スミスは,商品の交換比率は生産に必要な労働量によって決まるという投下労働価値説を,土地所有と資本蓄積のない未開社会にのみ認め,土地所有と資本蓄積のある社会については長期的な需要と供給の均衡により,賃金,地代,利潤の自然率の和として商品の自然価格が決定されるものとした。しかしリカードは,若干の修正の必要を認めながらも,未開社会でなくても投下労働価値説が基本的には成立すると主張し,商品の交換比率は需要から独立であるとする。…

【資本論】より

…しかし《資本論》の体系の構成からいうと,このイデオロギーの面が,ネガティブに,裏面になっていて,イギリス古典学派の批判的展開としての経済学が,ポジティブに,表面に,出ている形になっている。
[イギリス古典派経済学]
 A.スミスの《国富論》や,D.リカードの《経済学および課税の原理》によって代表されるイギリス古典派経済学は,確立しつつあった資本制商品経済社会の基盤に立って,社会各層の生活の基礎である賃金や利潤,地代などの所得のカテゴリーを,商品価格の構成要素として取り出し,それらの相互関係や運動を,商品の売買(=価格)に働く交換価値法則(労働価値説)によって説明しようとした。こうして資本主義社会の経済的編成とその運動法則を明らかにしようとする経済学の古典的なパラダイムができあがった。…

【商品】より

…価値とは,それに対し,ものが商品という社会的形態をとることによってもつ商品としての価値のことであり,貨幣によって測られ価格という形で表されるものである。需要と供給によって変動する商品の価格が究極には何によって決定されるのか,つまり商品の価値が何によって規定されるのかという問題に関しては,古典派やK.マルクスのように生産に要する労働量にそれを求める労働価値説・客観的価値論と,C.メンガー,W.S.ジェボンズらにおけるように効用という心理学的事象から説明する効用学説・主観的価値論の系譜がある。今日では,労働時間や効用という特定の生理学的・心理学的実体に価値・価格を結びつけるのではなく,需要と供給からなる市場のシステマティックな相互作用によって価格が決定されるという均衡論的説明が一般的である。…

【利潤】より

…このような角度から利潤を論じるとき当然問題となるのは剰余生産物とは何であり,またそれがどのようにして階級間に分配されるかということであって,分配のあり方は資本主義経済をそのまま特徴づけることになる。 剰余生産物は物的にみると生産物の中から原材料や機械設備の減耗分を補塡(ほてん)し,さらに労働者の生活物資を取りのけたあとに残る超過部分であるが,マルクスの労働価値説は,剰余生産物は資本主義社会においては剰余価値という姿をとり,それを生み出すのは労働者の剰余労働であると論じた。利潤の源泉はこの剰余価値にあり,利潤は剰余価値の転化した姿にほかならない。…

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