動吻類(読み)どうふんるい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「動吻類」の意味・わかりやすい解説

動吻類
どうふんるい

袋形(たいけい)動物門の一綱Kinorhynchaを構成する顕微鏡視的海産動物群の総称。体は紡錘形、体表はクチクラ化した多くの環帯からなる。頭、頸(けい)、胴の3部が区別できる。頭部には収縮可能な吻部を備え、胴部と尾部には刺状突起を備える属種が多い。砂泥帯や海藻帯に広く生息し、珪藻(けいそう)や有機物を食べる。キクロラガ目7属とホマロラ目4属からなる。日本からはTrachydemusEchinoderesの2属が採集されている。生息密度が小さいため多くの人の目に触れることは少ない。雌雄異体。孵化(ふか)直後の幼生は毛虫状、体節数と尾部の形状は脱皮とともに変化する。

[鈴木 實]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「動吻類」の意味・わかりやすい解説

動吻類
どうふんるい
Kinorhyncha

袋形動物門動吻綱に属する種類の総称。体は長い紡錘形で,体長 0.4mm内外。外見は体節があるように見えるが,内部は節がなく,神経だけがくびれて見えるにすぎない。体表はクチクラが発達し,各節ごとに棘毛が列をなしている。消化管前端が反転突出する吻をもっているのでその名がある。キョクヒチュウなどが知られており,浅海の砂泥中や海藻の間にすんでいる。

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