日本大百科全書(ニッポニカ) 「動物農場」の意味・わかりやすい解説
動物農場
どうぶつのうじょう
Animal Farm
イギリスの作家ジョージ・オーウェルの寓話(ぐうわ)小説。1945年刊。ある農場の動物たちが、老種豚メイジャーにそそのかされて、農場主の圧制に反乱を起こし、人間の搾取のない「すべての動物が平等な」理想社会を建設する。しかし豚たちが指導者になり、そのなかでも力のあったスノーボールを、ひそかに犬たちを攻撃用に育てていた指導者の豚ナポレオンが追い払ってからは、動物たちは昔よりひどい条件で酷使され、やがて人間との取引も復活し、この社会のために涙ぐましい奮闘をしてきた馬のボクサーも働けなくなるとと畜用に人間に売られ、ついには豚と人間は外見さえも見分けがつかなくなる。権力とスターリニズムへの激しい風刺小説。
[鈴木建三]
『高畠文夫訳『アニマル・ファーム』(角川文庫)』