日本歴史地名大系 「北方探険記」の解説
北方探険記
ほつぽうたんけんき
一冊 H・チースリク編 吉川弘文館 昭和三七年刊
解説 一七世紀初頭にヨーロッパ人として初めてエゾ島へ渡ったイエズス会宣教師アンジェリスとカルワーリュの三件の報告書を、ポルトガル語の原文テキストから翻訳したもの。アンジェリスは一六一八年と一六二一年、カルワーリュは一六二〇年と一六二二年にそれぞれ二度ずつエゾ島を訪れているが、目的は一六一三年以後の徳川家康によるキリシタン禁令を逃れて松前の金山で働いていたキリシタン信者たちの儀式を執行うほか、エゾ島の地理について知るためであった。その結果、報告書には同地の日本人やアイヌの風俗のほか、東西の遠隔地方から来たアイヌたちの情報によって、彼らがこの地を巨大な島と考えた根拠などが記されている。本書の末尾には報告書の原文なども収められている。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報