内科学 第10版 「十二指腸良性腫瘍」の解説
十二指腸良性腫瘍(胃・十二指腸疾患)
これらのなかで,良性腫瘍としては上皮性腫瘍では腺腫,Brunner腺腺腫がある.腺腫は上部から下行部に多く,組織学的には大腸腺腫に似た形態を示す(図8-4-39).大きくなるにしたがってその一部が癌を含む頻度が高くなるので,生検で腺腫の診断でも悪性の可能性を念頭において対処すべきである.Brunner腺腺腫や過形成は球部に好発し,粘膜下腫瘍の形態を示す.非上皮性腫瘍には,平滑筋種,神経鞘腫や神経線維腫などの神経由来の腫瘍がある.これらの腫瘍はいずれも粘膜下腫瘍として,下行部に多くみられる.
鑑別すべき悪性腫瘍としては,GISTとカルチノイド腫瘍がある.カルチノイド腫瘍は正常粘膜で被覆されており,十二指腸の粘膜下腫瘍として認識される.多発することもあり,十二指腸の上部から下行部に多くみられる.消化管のなかでは直腸に次いで高い頻度(消化管カルチノイドの1/4)で認められる.組織学的な悪性度(核分裂像)や大きさ(2 cm以上)によってはリンパ節や肝臓への転移が認められる【⇨12-10】.[山口俊晴・藤崎順子・齋浦明夫]
■文献
原岡誠司,岩下明徳:十二指腸粘膜の特異性と小病変の病理―特に腫瘍および腫瘍性病変について,胃と腸,36: 1469-1480,2001.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報